インド洋に浮かぶオーストラリア領の孤島で大移動始まる
インド洋に浮かぶオーストラリア海外領土のクリスマス島で、名物のクリスマスアカガニ(英名:Red Crab、学名:Gecarcoidea natalis)の大移動が始まった。タニア・プリバーセック連邦環境・水資源相が24日、明らかにした。
クリスマス島では毎年、雨季の最初のまとまった雨が降るこの時期、数千万匹の陸生のアカガニが、繁殖のために森林から海岸へ移動する。カニの群れが道路やビーチを真っ赤に染める様子は、この島の夏の風物詩となっており、世界中の野生動物愛好家の注目を集める。
プリバーセック環境相によると、クリスマス島国立公園のスタッフが、カニの移動経路を避けて車を迂回させたり、フェンスを設置してカニが道路に侵入するのを避け、道路の上下に設けた通路に誘導したりするなど、今年も数カ月前から準備を行ってきた。また、カニの天敵で外来の害虫であるアシナガキアリの駆除も実施してきた。
こうした取り組みが功を奏し、カニの個体数は過去5年間で5,000万匹から1億匹以上へと2倍以上に増えたという。
プリバーセック環境相は「(クリスマス島の)この象徴的な自然現象は信じられない光景であるとともに、貴重な固有種を保護するために私たちが力を合わせた素晴らしいサクセスストーリーです」と述べた。また、クリスマス島国立公園の管理責任者を務めるデレック・ボール氏は「(カニの大移動は)世界で唯一の現象です。アカガニは島を代表する生物であり、年に1回の大移動は非常に面白い現象で、地域社会が一体となって応援しているのです」と語った。
クリスマス島は西オーストラリア州パースの北西2,605キロ、インドネシアの首都ジャカルタの南西490キロのインド洋北東部に位置する面積137.4平方キロの孤島。さらに西方にあるココス(キーリング)諸島とともに、オーストラリアのインド洋領土を構成している。
英国の東インド会社が1643年12月25日に発見したことが名前の由来。英国による統治、第2次世界大戦中の日本軍による占領などを経て、1958年にシンガポールからオーストラリアに編入された。主産業はリン鉱石の採掘。人口(2016年)は1,843人で、華僑が全体の約2割と最も多い。
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