下から2番目の「カテゴリー2」でも、洪水や高潮、強風に警戒
日本の台風に相当する強い熱帯低気圧サイクロンが25日夜ごろ、クイーンズランド州北東部タウンズビル付近に上陸する見通しだ。26日から週末にかけて同州内陸部の広い範囲に激しい雨をもたらす可能性が高いため、同州政府やオーストラリア気象局(BOM)は洪水災害への警戒を呼びかけている。
BOMによると、24日午後1時の時点で、発達中の低気圧がタウンズビルの北東約660キロの珊瑚海上を非常にゆっくりとした速度で南南西に移動している。現時点の中心付近の最大瞬間風速は毎秒27.77メートル。低気圧は24日深夜ごろ、サイクロン「キリリ−」(Kirrily)に変わり、25日夜には「カテゴリー2」(5段階の下から2番目)の勢力で、同州カードウェルからボウエンにかけての海岸に上陸する見通しだ。
クイーンズランド州のスティーブン・マイルズ州首相は24日午後、「特にウィットサンデー諸島(上陸予想地点の南側に位置するリゾート地)で、今夜から影響が出始めるだろう」と述べた。州首相は「サイクロンは上陸後に勢力を落とし、低気圧に格下げされそうだが、非常に激しい雨が予想される」と洪水発生の危険が非常に高いと指摘した。その上で「クイーンズランド州北部の住民は今すぐ(災害に)備えてほしい」と注意を喚起した。
南半球で発生する熱帯低気圧は、時計回りに渦を巻きながら風を吸い寄せる。北半球の日本の台風(反時計回り)とは逆だ。このため、オーストラリア東海岸の場合、サイクロンの中心の南側で海から南東の強風が吹き、高潮が発生しやすい。強風で倒壊した樹木による家屋や車への被害、大雨による鉄砲水や河川の氾濫による洪水などへの備えも必要となる。
クイーンズランド州北部では昨年12月、サイクロン「ジャスパー」が上陸したばかり。ジャスパーも上陸時の勢力は「カテゴリー2」と比較的強くなかったが、記録的な大雨を降らし、中心都市ケアンズ周辺では約100年ぶりとされる大規模な洪水災害を引き起こした。
今回のサイクロン「キリリ−」が上陸すると予測されているタウンズビル付近は、ケアンズから直線距離で約275キロ南に位置している。ケアンズ周辺の被災地では、今回のサイクロン上陸によるへの影響は小さいと見られるが、引き続き注意が必要だ。
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