当初の予報より勢力拡大 「カテゴリー3」に格上げ
オーストラリア気象局(BOM)は25日午後5時すぎ、サイクロン「キリリー」に関する最新情報を発表した。これによると、サイクロンは当初予測された「カテゴリー2」(5段階の下から2番目)より1段階強い「カテゴリー3」の勢力を保ちながら、25日夜にクイーンズランド州北東部タウンズビル周辺の海岸に上陸する見通しだ。
サイクロンの上陸予想地点に近いタウンズビル市の災害対策本部は25日午後6時すぎ、緊急警戒情報を発表した。同本部によると、サイクロンが上陸するのは25日午後10時ごろ。同市は周辺住民に「今すぐ自分の身を守ってください。大きな窓から離れた場所、バスルーム、ウォークイン・クローゼット、廊下など、今いる建物の中で最も強固で安全な場所に移動してください。避難する場合は、今すぐ家族や友人の元に向かってください」と呼びかけている。
BOMによると、キリリ−は午後4時現在、クイーンズランド州北東部タウンズビルの北東85キロ、同マッカイの北北西320キロの珊瑚海上を時速25キロで西南西に進んでいる。中心付近では最大瞬間風速は秒速45.83メートル。日本の気象庁の台風の強さの階級では、3段階中2番目の「非常に強い」に相当する勢力がある。
既にサイクロンの南側に位置するウィットサンデー諸島では、最大瞬間風速33.33メートルと台風に相当する暴風を記録した。暴風域は25日午後には、インガム(Ingham)からタウンズビル、エアー(Ayr)に至る広い海岸線に広がると見られる。上陸時の中心付近の最大瞬間風速は、47.22メートルと破壊的な強さに達する恐れがある。
BOMはインガムからボウエン(Bowen)に至る地域で、今夜から明日朝にかけての沿岸と内陸部で、暴風と豪雨、生命に危険を及ぼす鉄砲水が発生する恐れがあるとして、地域の住民に以下の注意を呼びかけている。
−安全な場所への避難に備えた用意を直ちに完了すること
−明るいうちに、船舶や野外の所有物(車両など)が動かないよう厳重に係留・保管すること
−サイクロンの備えについて、州政府の災害対策ウェブサイト(www.disaster.qld.gov.au)を参照すること
−家屋の損壊、洪水、樹木の倒壊による建物・屋根の破壊などの緊急時はクイーンズランド州緊急事態サービス(SES=電話番号132 500)に連絡すること
上陸後は内陸部を西進し、「オーストラリア・デイ」の祝日となる26日金曜日には低気圧に変わると見られている。しかし、BOMは、同日から週末にかけて、同州北部から西部の内陸部の広い範囲で激しい雨と洪水に警戒するよう呼びかけている。
平坦なオーストラリアでは、嵐が去った後に遠隔地で降った雨で河川が氾濫し、洪水災害が発生するケースがある。昨年12月にクイーンズランド州北部ケアンズ周辺を襲った洪水でも、サイクロンが去って数日経ってから大規模な洪水に見舞われた。今回も沿岸部では26日以降、しばらく警戒が必要だ。
■タウンズビル市災害情報サイト
Disaster Dashboard(Townsville Local Disaster Management Group)
■オーストラリア気象局サイクロン情報
TROPICAL CYCLONE FORECAST TRACK MAP(Bureau of Meteorology)