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7月から所得減税、オーストラリア労働党政権が「公約破り」の改正図る理由とは?

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生活コスト高騰にあえぐ中間層に手厚く

 オーストラリアの労働党政権は7月1日に施行する個人所得税減税「ステージ3」(第3弾)の内容を見直す方針だ。既に決まっている従来の計画では、税率を3段階に簡素化するが、現行制度通り4段階とした上で、従来計画と比べて中間層への減税を手厚くする。一方、課税所得13万5,000豪ドル超の高所得者層への税率は引き上げ、最高税率が適用される課税所得の上限も引き下げる。

 税率は、課税所得1万8,201〜4万5,000豪ドルの場合、従来計画の19%から16%に引き下げる(表参照)。従来は4万5,001〜20万豪ドルの広範囲で一律30%とする計画だが、4万5,001〜13万5,000豪ドルで30%、13万5,001〜19万豪ドルで37%と現行制度(4万5,001〜12万豪ドルは32.5%、12万1〜18万豪ドルは37%)と同様に2段階に分ける。最高税率を適用する課税所得は従来の20万1豪ドル以上から19万1豪ドル以上に引き下げる。

 個人所得税減税は、前保守連合(自由党、国民党)政権が推進した。稼げば稼ぐほど税負担が増える仕組みを変えて、労働意欲を高めるシンプルな税制を目指した。今回の第3弾は、一連の所得税制改革の最終段階。労働党は野党時代、最終的に減税法案に賛成した上、政権を奪回した前回2022年の連邦選挙で第3弾の内容を変更しないと明言していた。このため、今回の見直し発表は明確な公約違反となる。

 それでもアンソニー・アルバニージー首相は、状況の変化に合わせて制度を見直す考えを強調した。首相は25日の声明で「スコット・モリソン前首相(自由党)の減税は、コロナ禍やインフレ上昇、利上げ、世界情勢の悪化が発生する前に制度設計された。これらの状況の変化によって苦しんでいる人たちに手を差し伸べるには十分ではない」と述べた。好調な雇用やインフレで増えた税収を原資とし、生活コスト高騰に苦しむ中間層に手厚い減税措置を講じる考えだ。





 アルバニージー首相によると、減税の恩恵を受ける納税者の数は1,360万人と従来の計画よりも290万人増えるという。全納税者の84%に相当する1,150万人の所得税額が、従来計画より減少するとしている。課税所得が7万3,000豪ドルの平均的な勤労者の減税幅は1,504豪ドルと、従来の計画よりも804豪ドル多くなる。同10万豪ドルの減税幅も2,179豪ドルと同様に804豪ドル増える。

 ただ、計画通り7月1日から新たな減税策を導入するには、与党が連邦議会で個人所得税法改正案を成立させることが前提となる。最大野党・保守連合のピーター・ダットン代表(自由党党首)は「公約違反」と批判しつつ、現時点では法改正への賛否を明らかにしていない。保守連合が反対した場合、与党は過半数の勢力を制していない連邦上院で法案を通過させるには、キャスティングボートを握る左派グリーンズ(緑の党)など少数勢力の支持を得る必要がある。

■ソース

Tax cuts to help Australians with the cost of living(Prime Minister of Australia, The Hon Anthony Albanese)





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