8月CPI上昇率は2.7% 中銀の「2〜3%」目標圏内に
オーストラリア統計局(ABS)は25日、消費者物価指数(CPI)の月次指標を発表した。これによると、8月のCPI(総合)の上昇率は前年同月比で2.7%と2021年8月以降の3年間で最も低い水準を記録した。7月の3.5%から減速した。インフレの鈍化がより鮮明になったことで、中央銀行の豪準備銀(RBA)に利下げを求める声がいっそう高まりそうだ。
もっとも、インフレの急減速は政府の電気料金補助金による影響が非常に大きい。国民の生活費高騰を緩和するため、連邦政府に加えて各州政府も7月から補助金の支給を開始した。このため、電気料金のCPIの下落幅は7月に前年同月比5.1%、8月には史上最大の17.9%に達した。
加えて、ガソリン代も下がってきている。自動車燃料のCPIは前年同月比7.6%低下し、インフレの減速に寄与した。
月次CPI上昇率は、22年12月の8.4%をピークに下落していたが、今年に入り3.4%〜4.0%の幅でほぼ横ばいが続いていた。政府補助金の影響が大きいとはいえ、中央銀行の豪準備銀(RBA)のインフレ目標(2〜3%)圏内まで落ち着いてきた。
特殊要因を除く基調インフレ率(日本など主要国の「コア・インフレ率」に相当)の各種指標も、下落傾向が鮮明になっている。「果物・野菜、自動車燃料、休暇旅行費を除くCPI」の上昇率は3.0%(7月は3.7%)、電気料金や自動車燃料など物価変動野激しい品目を除く「CPIの年間トリム中央値」の上昇率は3.4%(7月は3.8%)にそれぞれスローダウンした。いずれの指標も、インフレが加速した22年以降の約2年半で最低の水準を記録した。
ジム・チャーマーズ連邦財務相は声明で、インフレ鈍化を歓迎した上で、「インフレはまっすぐ一直線に沈静化するわけではない。月次指標は変動が大きいため、インフレの公式な目安となるのは四半期統計だ。それでも本日の統計には非常に勇気付けられる」と指摘した。
■ソース
Monthly CPI indicator rose 2.7% in the year to August 2024(ABS)
Underlying inflation lowest in more than 30 months(The Hon Dr Jim Chalmers MP Treasurer)