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日本人のワーホリ来豪者数がトップ4に入るオーストラリア/ビザ・コンサルタントが解説するワーホリのメリット②

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第2回:オーストラリアにおける日本人の存在

 皆様、こんにちは。東京を拠点にオセアニア・ビザ・コンサルティング事業を運営している、AOMビザ・コンサルティング代表・足利弥生と申します。

 2月下旬から3月まで1年ぶりにオーストラリアへ訪問、そしてニュージーランドへはコロナ以降4年ぶりに訪れました。懐かしい方々との再会は時を忘れるほど感慨深いもので、特に今回はニュージーランドで、20代のワーキング・ホリデー時代に大変お世話になったご夫婦が93、94歳と伺い、10年ぶりくらいに再会しました。お元気なご夫婦にお会いして、これまでのキャリアの経緯を振り返りながら、再会に感謝し、温かい気持ちになりました。オークランドは、まさに数年前のシドニーのようでCBD中工事だらけで、今後政権交代後の都市開発に期待したいところです。

 オーストラリアではシドニー及びメルボルンで、ビジネス関連の皆様やクライアントにお会いし、メルボルンではAJBCV国際女性デー・イベントに参加。そして、メルボルン総領事館では総領事含め最近のワーキング・ホリデー事情について伺う機会がありました。最後に、移民政策や人口政策を研究されているメルボルン大学・准教授大石奈々先生にもお会いし、ワーキング・ホリデーを含む、多様な日本人の移住傾向やグローバルの流れ、そして日本の今後の動向など、多くの建設的なディスカッションができました。

 弊社は学生からワーキング・ホリデー、駐在員、そして富裕層、グローバル・タレントなど多様な方々のビザをサポートしており、さまざまな目的でオーストラリアへ移住し、そして夢を持ちながら将来を描いている人も多くいらっしゃいます。若ければ若いほど「チャンス」が多くあることは確実ですが、「ビザ」という期限がある中で、どれだけ計画的にベスト・パフォーマンスを提示できるかによって、将来の結果も大きく変わってくるということも、念頭におきながら過ごして頂ければと思います。

邦人人口について

 ところで、日本人はどの国に多く移住しているのかご存知でしょうか。外務省2023年10月の統計によると①アメリカ②中国③オーストラリアと、実はオーストラリアは、世界で3番目に多く10万人弱の日本人が居住しています。特記すべきは、「永住者」についてです。アメリカとオーストラリアは約半数が永住者になるため、永住者人口から見るとオーストラリアは世界で2番目に日本人が多く居住する国となります。アメリカについては長期的な歴史的背景もあり、理解できると思いますが、オーストラリアはこのけん引役となっている背景としてワーキング・ホリデー制度の存在が最大の理由と感じています。

 ワーキング・ホリデー・ビザから就労ビザ、そして永住と、過去バブル期の80~90年代は特に移住しやすい道になったことが、この人口背景に大きく影響していると言えます。また、逆のパターンとして、日本経済がまだ強かったこともあり、日本語習得が良い仕事につながるという理由から、オーストラリアから日本へのワーキング・ホリデーとして多くの若者が来日し、その後日本人と婚姻して家族として移住するケースも非常に多く、2国間協定の背景から、こうした人口形成されたと感じています。何よりも、日本にとっては時差がなく、また季節が逆であるという点も、移住する魅力の1つになっていることは間違いありません。こうした背景から、日豪交流の原点としてもワーキング・ホリデー制度は相互2カ国に非常に大きな影響を与えており、相互理解の柱になってきたと言えます。

オーストラリアへワーキング・ホリデーに訪れる人の国籍

 では、ワーキング・ホリデーを活用する人について、どのような国からオーストラリアにきているのでしょうか?内務省最新データ(2023年6月)によれば、初めてのワーキング・ホリデー取得者は①イギリス②フランス③アイルランド④日本と、なんと日本は全体でもトップ4に入る数字で1万4000近くビザが発行されています。この数字が邦人人口の増加にけん引していることも事実です。

 ワーキング・ホリデー全体としても、日本人はオーストラリアにおいて相当な存在感であることが分かります。これだけ多くの日本人がオーストラリアへワーキング・ホリデーで訪問しているという事実から、個々の心構えによって、より効果的な滞在をすることで、将来の日豪ビジネスの緊密化につながることが期待できます。

簡単に仕事が見つかるわけではないワーキング・ホリデー

 ここで認識しなければならないのが、ワーキング・ホリデーは「ビザ取得」をすることで就労は可能となりますが、オーストラリアで仕事が簡単に見つかるということではないことです。少なくとも、ワーキング・ホリデーは、イギリスをはじめとした「英語圏」から多くの若者がオーストラリアへ経験を求めてやって来ます。そのため、英語圏であるオーストラリアにおいて、雇用主はまずスキルがある人、英語でのコミュニケーションができる人を採用したいと考えるのが自然なため、コミュニケーション自体が困難であれば、その選択にも入れないということになります。

 現代は、多くの情報が出発前の日本からも収集できます。また、英語力に自信がない人は、まず語学学校に就学するなど、多様な留学エージェントのサポートも活用できます。また、以前私が話を伺った人は、ワーキング・ホリデーで来豪する前に、多くの外国人が観光に訪れるニセコで英語漬けのアルバイト経験を数カ月したそうです。私が経験したワーキング・ホリデーの時代としくみ自体はそれほど変化していませんが、現代はSNSをはじめ、あらゆる情報が散乱しており、翻弄されるケースも多々あるようで、状況によっては昔よりもはるかに適切な情報収集が複雑になってきた印象です。

ワーキング・ホリデー就労のパターン

 最近、メルボルン大学の准教授・大石奈々先生による著書「流出する日本人─海外移住の光と影」という本が出版されました。昨今の日本人移住の傾向について非常に幅広い層(学生やワーキング・ホリデー、子育て世代、富裕層からリタイア層まで)の皆様が、どのような目的で海外移住しているのか、オーストラリアに限らず日本人が多く移住する国について記述されていますが、特に大石先生の居住地であるオーストラリアについて非常に細かいデータや移住者のインタビュー、そしてワーキング・ホリデーについての考察など、とても興味深い内容でした。根本として、どのようなビザでも「移住する」ということは日本とは「異なる国」のあらゆる違いを受け入れ、順応力が重要であるというのが個人的な見解です。起きていることは「現実」であり、私もこうした傾向が、今後更に進むと感じていますが、多くの皆様にも状況を知って頂くことで日本の将来を考えるきっかけになればと願います。

 大石先生の著書内にも記述がありますが、オーストラリアにワーキング・ホリデーで訪問する多くの人は、日本で正社員としての経験を持ち、具体的な目的をもって訪れている人が8割を超えていたというのは歓迎したい点です。

 また、ワーキング・ホリデーは以下の4つのパターンに分類できると藤岡信明氏が記述している点も大変興味深いと感じました(「若者ノンエリート層と雇用・労働システムの国際化―オーストラリアのワーキングホリデー制度を利用する日本の若者のエスノグラフィー」2017年)

  1. キャリア・トレーニング型 キャリア・アップが目的(美容師や調理師、スポーツ・コーチなど)
  2. キャリア・ブレーク型 仕事を一旦辞めてリフレッシュが目的
  3. キャリアリ・セット型 キャリア・チェンジのための経験を積んだり、新たな資格や技能を身に付ける
  4. プレ・キャリア型 在学中の学生が留学やインターンシップ的に利用

 日本では、多くのメディアでワーキング・ホリデーについての話題を取り上げているのが見受けられますが、真摯にこうした活用をしている若者も少なくないということ、また、これからワーキング・ホリデーを考えている人は、こうした考え方でプランニングしていくことは有益と思います。もちろん、就労に限らず純粋にバックパッカーとして周遊や各地で多くのチャレンジの機会を作ることに活用して欲しいと願います。

AOM Visa Consulting

足利弥生
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■Web: https://aom-visa.com
■Email: info@aom-visa.com
■営業時間: 月〜金 9AM〜5:30PM(日本時間)





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