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オーストラリアで起業や投資、資産運用を行う場合など、お金に関する疑問が生じた際、誰に相談すべきか迷うことがあるだろう。本特集では、税金問題や遺言相続問題など法務面でのサービスを取り扱う専門家に伺った、お金にまつわるさまざまな相談内容やサポート事例、注意点などをお届けする。
- ① H&H Lawyers
林由紀夫氏 - ② CJM Lawyers
ジェイク・ジョン氏 - ③ 弁護士法人・伏見総合法律事務所
髙橋健氏
弁護士法人・伏見総合法律事務所
Fushimi Law Offices
髙橋健氏
日本に拠点を置きながら、豪州の専門家らと連携し豪州法務にも積極的に取り組む弁護士法人・伏見総合法律事務所。同所の事業内容や強みに加え、遺言・相続問題など日豪両国間で発生する金銭問題において、どのような法務サポートを行うのか、またサービスを提供する上で心掛けている点について同所の髙橋健氏に伺った。
PROFILE
髙橋健(京都弁護士会所属)
2008年立命館大学法科大学院卒、同年に司法試験合格。09年司法研修所を修了し、弁護士登録。13年伏見総合法律事務所に移籍。18年ニュー・サウス・ウェールズ大学Institute of Languages English for Lawコース修了。主に中小企業の法務面をサポート。18年から母校である立命館大学法科大学院で「企業法務」の授業も担当している。
ここがポイント
- 日豪両国間で発生する金銭問題を含む案件において、日本サイドの法務面をサポート
- 日本法の知識と経験を最新情報及び実務運用を踏まえ、個別に具体的なアドバイス
- 豪州の提携弁護士と共同で案件を取り扱い、依頼者との円滑なコミュニケーションを実施
──御社が提供するサービスについてお聞かせください。
当事務所は、日豪間のお金の問題のうち「日本サイド」の法務面をサポートしています。例えば遺言相続問題に関しては、豪州に居住し日本に資産(預貯金・不動産・株式など)を有する方々に、生前の対策として「遺言作成業務」と、死後の問題として「遺産分割協議や遺言執行のサポート業務」などを、日本法に基づき対応しています。企業のビジネス法務については、以前の日豪プレスのインタビューを参照下さい。
当事務所は日本に拠点を置き、日本の遺言・相続問題やビジネス法務の情報を日々アップデートしながら日本国内の裁判対応を含む業務に取り組んでいます。そのため、日本から離れた豪州在住の方々にも、そのような実務経験などを通じて養った、いわば生きた日本法の知識・経験を、最新の情報・実務運用を踏まえて個別・具体的にアドバイスする点が強みです。
──豪州在住の日本人から寄せられるお金に関する相談内容はどのようなものですか。
一番多いのは遺言・相続案件です。豪州国内に居住する日本人の遺産が日本国内にある場合、日本国内の相続手続(銀行での預金払戻手続きなど)や、豪州国内の遺言書を使った日本国内での相続手続、更にまだ相続が発生していない状態で、病気などやむを得ない事情で日本に帰国して預金口座の解約払戻しなどができない際、依頼を受けて日本国内の銀行と折衝し預金などの金融資産を解約払戻しする案件に対応しました。そのような個々の案件対応の中で痛感するのは、日本国内の相続手続きにおいては、日本法に従った形式での遺言書があれば、スムーズに進みやすく非常に効果的なことです。
──これまで携わった金銭問題の案件で印象的なものはありますか。
日本人が遺言書のない状態で豪州で亡くなり、残されたオーストラリア人の配偶者から日本国内の遺産に関する相続手続きの依頼を受けたことがあります。日本と深い関わりがなく日本語もほぼ分からない方でした。また、生前それほど交流がなかった兄弟姉妹が相続人として存在するという複雑な事案でした。配偶者が日本人ではないため、サイン証明書を取得することができず、日本の金融機関もどのような書類で代替するのか前例が乏しく方針が定まらない中、豪州の提携弁護士と協力し、「Statutory declaration」を作成するなどして相続手続きを完了させることができました。
また、日本には豪州ではあまり馴染みがない「相続放棄」という手続きがありますが、この相続放棄は、基本的に被相続人の死亡後、自分が相続人となったことを認識してから3カ月以内に日本の裁判所で手続きを取る必要があります。その期間内に相続放棄の手続きをしなければ、原則、自動的に相続をすることになり、もし遺産が負債ばかりの場合、悲惨な結果となりかねません。豪州在住の相続人から、この相続放棄手続の依頼を受けることも多くあります。特に被相続人が亡くなってから3カ月経過後に多額の負債を知り、不安を抱えて相談を頂く場合も多いです(結論としては、このような3カ月経過後の相続放棄であっても日本の裁判所で認められる場合があります)。
豪州在住の方々のお金にまつわる法務サポートをする中で感じることは、日豪の距離感です。特に国境の行き来がしにくいコロナ禍の昨今、なおさらかと思います。法律問題は、多額の負債を相続してしまうなど場合によっては非常に大きな影響を与えます。そのような中、日本でこういった法律問題を扱っている当職においては、日本法の確かな実務的知識・経験を提供することに加え、小さい進捗状況についても定期的に依頼者とコミュニケーションを取ることを心掛け、オンライン・ミーティングも積極的に活用して、できる限り不安感を取り除くことに努めています。
<事業内容>
伏見総合法律事務所の髙橋氏は、海外市場に事業展開するさまざまな業種の中小企業の顧問業務及び、豪州法務(日系企業のオーストラリア進出のサポート業務や、日本とオーストラリア双方に遺産が存在する場合の遺言相続サポート業務など)にも積極的に取り組んでいる。
Fushimi Law Offices
■住所:京都府京都市伏見区風呂屋町265伏見総合ビル(京都事務所)
東京都千代田区丸の内1-1-1パレスビル5階515区(東京事務所)
■Email: k-takahashi@fushimisogo.jp
■Web: www.fushimisogo.jp / www.fushimisogo.jp/australia
豪州法務の専門サイトでは、定期的に日豪の遺言相続問題とビジネス法務に関するコラムを更新している。