株のリスク
どんな投資にもリスクは付きものですが、リスクとリターンはトレード・オフの関係にあると一般的には考えられています。一般的な投資対象の資産クラスは、現預金(Cash)、債券(Fixed income)、不動産(Property)、そして株が主なものとなります。
その中でも株が最もリスクが高いと考えられています。つまり、同じ期間でそれぞれの資産クラスの値動きを比較すると、株が最も値動きが大きいということです。大きく儲けるチャンスもあれば、多くを失う恐れもあるのが株の特徴です。
リスク資産を選択する時、よく不動産と株のどちらが良いか議論されます。不動産を好む人の意見としてよく聞かれるのが、株は会社が倒産したら紙くずになるが、不動産は価値が下がっても物自体がなるなることはないということです。
会社が倒産すると会社の資産が現金化され、従業員の未払い給与に充てられます。その後、債権者に借りたお金を返済し、お金が残ればそれを株主で分け合うことになります。しかし、ほとんどのケースで倒産企業は債務超過になるので、株主が分け合えるお金が残ることはまずありません。
これは最悪のケースですが、銘柄によっては1年で価値が半減してしまうということも決して珍しいことではありません。株に投資するというのは相応なリスクを受け入れる覚悟が必要ということです。
株価の変動リスクは、市場全体のリスクと銘柄固有のリスクに分けて考えることができます。オーストラリア経済全体が低迷していれば、業種や銘柄にかかわらず大半の株価はパフォーマンスが悪化します。また、特定の業種だけが低迷する場合もあります。例えば、昨年末から年初にかけて、金融機関の不祥事が注目されたことで銀行株が軒並み値を下げました。一方で、ある企業の業績や将来性が注目され、市場やその企業が属する産業を取り巻く環境とは関わりなくその株価が上昇することもあります。
外国で収益を得る企業に投資する場合、その国の経済状況の影響も受けます。また、その収益をオーストラリアに移転する際に豪ドルへ転換が必要となることから、為替レートも株価を左右する要因となります。
このように、株価はさまざまな要因により影響を受けます。これが株に投資することの難しさであり、これらの要因を分析して銘柄を選択することが株の醍醐味とも言えます。
KVB Global Markets取締役日本部門ヘッド
KVB Wealth Managementカスタマー・サポート(FA資格保有)
山田悟