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トラウマを持ちながらもロマンを感じるダム/タカ植松のQLD百景

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QLD百景
Text&Photo by Taka Uematsu

第19回:ゴールドコーストの水瓶/ヒンズ・ダム

 ダムには少し苦い思い出がある。

 2011年、日本が東日本大震災に揺れた年、その2カ月ほど前にブリスベン近郊を大洪水が襲った。年が明ける前から異常なまでに降り続いた雨を、さばき切れなくなったブリスベンの水瓶アイバンホー・ダムが放水した水は、周辺地域に大規模洪水を発生させる1つの要因となった。

 筆者も、その時のいわゆる“被害者”の1人で、今でもその時の経験はちょっとしたトラウマだ。

 ただ、くれぐれも誤解なきように。ヒンズ・ダムはゴールドコースト地域の水瓶でブリスベン大洪水には関わりはない。

 そんなダムに関するトラウマはあれど、元来、ダムのことは嫌いではない。スケールの大きな土木工事にはロマンを感じる。ダムに沈んだ村の話などを聞くと、とてもセンチメンタルにもなる。

 日本でも、この国でも、ダムを訪れる度に巨大な建造物の前に圧倒されてきた。このヒンズ・ダムも例外ではない。3段階にわたっての施工を経て現在の形になったのは2011年。奇しくも大洪水が発生したのと同じ年の話だ。

 言うまでもなく平時のダムはいたって静穏。人造湖の湖面には鳥が遊び、水面下ではさまざまな淡水魚が群れる。コンクリートの巨大な姿から無骨な印象を与えがちだが、ダムにはロマンがあるよな……って、damn、誰もダム談義になんて興味はないか。お後がよろしいようで。

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