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花の芸術は「和の文化」/花のある生活 – flower in life – 第52回

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葉を編み込んで旭ハランの従来とは違う表情を作りました。同じように青文字の枝もツイストさせ、モダンなデザインにいけてみました

 フラワー・アレンジメントといけばなの違いをご存知でしょうか?

 私の考える違いは、「フラワー・アレンジメントは花によって空間を埋めようとしますが、いけばなは花によって空間を生かそうすること」。更に説明を加えるなら、「いけばなは、その花によって生かされた空間が、今度は逆に花を生かすこと」だと考えています。

 要するに、花とその周りの空間は互いに引き立て合うものとして完成され、日本の和の文化そのものを表現しているように思います。

 いけばなが文化的に長く愛されている理由の1つとして、「調和」ということ、すなわち、いけばなで言うところの花と花器とその周りの空間との関わり合いが大切で、その点に美しさを感じてきたことも、西洋式のアレンジメントと違っているポイントだと思います。



 花を飾れる床の間というような伝統的な場所が、現代の生活スタイルからなくなってきています。いけばなを置く場所がどこなのか分からなくなってしまい、モダンにマッチしやすいフラワー・アレンジメントを飾られることの方が多くなってきたのではないでしょうか。

 けれど、長い歴史の中で育まれてきた日本の和の文化を、日常の一部としてご自身の生活に取り入れることは自然なことだと思います。毎日頂く3度の食事の側に花を添えること、客人を招く際にテーブル周りを季節の花で飾ること、ガーデンに植え込む植物の位置を工夫することも「和の文化」そのものだと思います。

 花だけではない器と相まった美しさ、花がいけられて空間が輝き始める相乗効果、調和は日本の和の文化の美しさですね。植物の枝や葉によって私たちの気持ちが包み込まれる感覚や、花によって心が潤うことを、ご自身の生活に応じて植物との関わり合いを見つけていただけたらと思います。花をいける学びの中で周囲の状況や環境に「スッ」っと溶け込んでいくようなものが、美しく、長く、私たちの心に寄り添っていけるように思います。

このコラムの著者

Yoshimi

いけばな作家
Web: https://www.7elements.me/

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