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視点を変えて見ると面白い。「輪」のように広がる美しさ/花のある生活 – flower in life – 第54回

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真上から撮影された作品のハイブリッドスターチスやホットチェリー(カラーの花)の赤色と、それらの緑の茎は、クリスマス・シーズンを華やかに演出してくれます

 年の初めに恵美須神社にお参りしたのがつい先日のことのようで、今年も年の瀬がすぐそこまで
近づいてきました。

 えべっさんの愛称で親しまれている京都祇園の恵美須神社では、縁起ものの飾り「人気笠」が売られており、私もその雅やかなフォルムに惚れ込んで購入し、稽古場に飾りました。人の形をした紙が花笠のような円形の中に収まり、「人気大よせ」と書かれ、人が集まることや商売繁盛の願いが込められています。

 1年を振り返ってみると、新春能に始まり、クラシック音楽、踊り、薪能と伝統芸能を鑑賞する機会が増えました。また、京都へいけばなの稽古に行く傍らで、神社仏閣を参拝し、仏教美術の美しさに触れる機会も増えてきました。

 何か1つのことに集中して学んでいくためにも、あらゆる視点から考えられる能力は強みであり、自信にもつながっていくように思います。

 特にいけばなは、上下左右から見ても魅力があり、表現の幅を広げていくためにも、芸術分野全般に視野を広げて鑑賞することに価値を感じます。

 以前、私の作品について「これは上から見ると面白い」と言われました。確かに、たくさんの茎の線が、糸が折り重なっているように見えて、別の視点からの美しさを感じられました。

 いけばなの魅力は、見る角度や見る人によって心に響くところが違っていて三者三様です。だからこそ花をいける側も面白く、大勢の人に見て頂きたいと思うのです。

 今年は恵比寿さんのご利益でしょうか、人が集まりにぎやかに過ごせた1年でした。伝統芸能を知ることは情緒が豊かになり、また、感じたことを他者と共有することにより、感情の結び付きが構築されて、人の輪が広がって行くように思います。

 心願成就したえべっさんの「人気笠」は、年々大きな笠に買い替えて行くそうです。人の輪も、心の輪も、良い円が大きく広がって行く2024年でありますように。

このコラムの著者

Yoshimi

いけばな作家
Web: https://www.7elements.me/

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