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オーストラリアでの車の個人売買の落とし穴とは⁈ 中古車ディーラーと弁護士が徹底対談

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 雄大な国土を有することもあり、基本的に車社会のオーストラリア。都市部に住む人は特に意識することはないかもしれないが、いったん都市部から離れると車がなければ行けないところも多く、車は必需品となる。そのため、オーストラリアではワーキング・ホリデー・メーカーや学生でも手が届きやすい価格帯の中古車売買が活発だ。本記事では、ゴールドコーストに本店を構え、中古車ディーラーとして圧倒的な存在感を放つ「WISE JAPAN」の代表・早田勇介さんとQLD州及びNSW州に3つのオフィスを構える法律事務所「CJM Lawyers」の弁護士・ジェイク・ジョンさんに、中古車取引に係る法律や、トラブル回避方法など、車の個人売買の落とし穴とディーラーの存在意義について語って頂いた。

個人売買による中古車のベネフィットとリスクとは?

──オーストラリアでは新車販売台数が急増する一方、これまで新車の代替需要で売れていた中古車が高年式車を中心にダブつき、市況が下落しています。値段がどんどん下がり購入しやすくなるため、中古車の個人売買が活発になる傾向にありますが、いかがでしょうか?

早田:個人売買の場合、リスクを伴うことを忘れないで欲しいですね。リスクが上がれば上がるほど安く車を手に入れることができ、お金を出せば出すほど、リスクは下がります。

ジョン:ディーラーを介して中古車を買う場合、もちろん個人売買よりも費用がかさみますが、それなりの理由があるのは明白です。車を所有する際に不可欠な登録や証明書、国に提出しなければならない必要書類の用意やメカニック的な要素を含め、その車が健全で安全なのかということを確認できる点が1つです。

早田:ディーラーから車を購入した場合、安全が保証されるため、壊れた時や事故が起きた際、助けを求めることができます。法律面で最も異なる点は、保証の有無です。個人売買でよくあるパターンとして、買った後に「過去に事故があった」「盗難車だった」などが分かる場合がありますが、ディーラーには、動産担保登記簿(Personal Property Securities Register:PPSR)を購入者に伝える義務があります。個人売買の車の場合、事故のヒストリーなどが分からない上、積算走行距離計(オドメータ)やレジストレーションの詐欺など、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。しかし、ディーラーには規制があるので、買い手に事故のヒストリーを伝えることはもちろん、保証や保険の手続きなどもしっかり行います。

ジョン:保証についての情報を知らない人も多いですよね。特に海外からオーストラリアに来た人たちは、保険が必要なのかどうか分からず入らなくて良いと考える人もいます。そんな中、ディーラーは、車自体に加えパッケージとして保険を含む大切な情報などを提供し、サポートします。個人売買の場合、盗難車なのかなどトレーサビリティーの履歴や保証などが一切なく、全て個人で確認しなくてはなりません。日本人を含む多くの外国人は、オーストラリアでの確認方法を知りません。例えば、個人ローンがついている車の場合、それを取り上げる力は法的にはありませんが、クレームを受ける可能性はあります。融資中の車が売却され、その登録がPPSRについていたが、個人売買のためそれを知らず、車を手に入れた後に銀行からその車が差し押さえになったという事例も多数あります。

早田:確かに。そういう話はよく聞きますね。

ジョン:盗難車の場合もありますよね。例えば、購入した前日に盗難された車だとしたら、履歴にすぐ出てこない場合もあります。警察の調査中に売買が行われ、安く購入した後に警察から調査され「これはあなたが盗んだ車ですね」と言われるなど、事件に巻き込まれる危険もあります。個人売買の場合、そういったリスクが非常に高い。車は大きい買い物だけに、価格の安さだけに重点を置いてしまうと油断してしまいがちです。リスクの高さも含めしっかりと検討することが大切です。

早田:車に詳しい人の中には、自分で探して買えばいいと考える人も結構いると思いますが、整備士をしていた経歴を持つ人や、自動車メーカーで働いていた人など、本当に車のことを分かっている人たちは、正規店やディーラーを通して車を買いますね。車は機械だからいつかは壊れるし、修理の際にお金が掛かります。そのことをしっかり理解しているためです。ディーラーから購入した場合、何か車にトラブルが起きた時に、文句を言える先があります。車が壊れた際や事故にあった場合でも、ディーラーに電話すれば、手助けしてもらうことができます。車のことをどれだけ分かっていても、保険やレジストレーション、事故歴、盗難歴などについて知ることは難しいため、車に詳しい人でもディーラーから買おうと考えるのは自然と言えるかもしれないですね。

ジョン:ディーラーでの購入では、法的なワランティーがつきますよね。例えば中古車が、10年前の年式で走行距離16万キロ以上だったら、1カ月の保証期間があり、10年以下の車で16万キロ以下だったら、3カ月間のワランティーがつきます。

早田:ディーラーがサービスで、例えば1年は保証すると言っていても実際は法律上、長くても中古車は3カ月です。勘違いしている人も多いのですが、1年保証と言ってもオートマチック・エンジンだけの保証で他は全て保証していないなど、保証内容に関してはしっかりと見る必要があります。

多発しているスキャムやトラブルに要注意!

ジョン:車の個人売買で、最近特に多い事件はスキャムです。具体的にはSNSのタイムラインなど、インターネット上に掲載されている広告などが該当します。車の写真や情報もしっかり載っており、そのリンクは一見正当なものに見えます。その後、連絡したら車を内検する前にデポジットを支払うよう言われ、言われるがままにお金を払った後、その広告が消えてしまい、投稿者と連絡が取れなくなるというようなケースです。

早田:車や家賃のボンドなど、そういう詐欺に引っかかっているのは、ほぼ外国人ですよね。車の場合、極端に安い車は要注意です。例えばすごく新しい車なのに5,000ドルで出ているとか。ちゃんと常識を持ってオーストラリアで生活してきた人なら、それがその値段で販売されているのはおかしいと分かるのですが、オーストラリアに来たばかりであまり英語も話せず、とりあえず安くて良い車だからと飛びつき、手元のお金を振り込んでしまうのです。また、車を買った帰りがけに壊れた、あるいは次の日にエンジンが掛からなくなったなどという相談を受けることもあります。ボロボロの車を、1日もしくは1週間だけ動かせるようにする小細工もあるんですよ。その場合、5,000ドルで鉄屑のゴミを買ってしまったという結果になります。

ジョン:スキャムの場合、相手先が分からず電話番号しか分からないといったケースが多いです。フェイスブックのプロフィールなども誰でも簡単に作れるので気を付けた方が良いでしょう。

早田:警察に届けたところでどうしようもないので、最初から引っ掛からないようにするしかないですね。そのためには正しい知識が必要で、更に知識があってもリスクは残るため、最初から危ない橋は渡らないのが一番です。仲の良い友人など、身元がはっきりしている人同士で車の売買をするのは良いと思いますが、間に業者が入っていないので、何かあった場合はお互いの責任問題になります。例えば、車に不具合が起きた場合、ディーラーで購入していれば、無料で車を直せたにもかかわらず友人から買ってしまったがゆえに、修理に5,000ドル掛かるなどといったケースもあります。売主はそれを予想していなかった、購入者はちゃんとした車だと聞いていた、そういった場合でもトラブルは発生するわけです。また、ボロボロすぎると車検に通らない場合があり、名義変更できないパターンもあります。車は安ければ安いほどトラブルが多いですね。

リスクを避け安心して中古車を購入するためには?

ジョン:個人売買で車を購入する際の責任は自分が負うことになります。それに融資があるかどうか、車に問題があるか、それらも含め全て自己責任となります。ディーラーは、車に関する法律的なことも分かっている専門家です。最初からディーラーに相談に乗ってもらうことで、トラブルを回避することができますが、もしトラブルに巻き込まれてしまったら、弁護士に相談してもらえればと思います。

早田:ディーラーから車を買う場合は、法律で一定期間の保証が付けられています。WISE JAPANでは、保証の範囲外のトラブルが起こったとしてもサポートするようにしています。看板を掲げてビジネスをしているわけですから、弊社で買ってくれたお客さんに関してはやはりできるだけのことはします。保証については、例えば2年間延長保証する人もいるのですが、それはパッケージとして売っている商品になります。それとは別に、ディーラーとして絶対に付けなければならないワランティーがあり、2つのパターンに分かれています。製造から10年が過ぎている古い車で、16万キロ以上走行している車に関しては1カ月、それ以外は3カ月となります。また、弊社は日本車しか販売していないので、そこも他社との違いかもしれません。

ジョン:オーストラリアのシステムに詳しいディーラーに任せるべきですね。海外から来た人の中には、レジスターにある義務保険が全てをカバーすると思っている人がすごく多いですが、それは第三者の被害や動産資産についての被害についてはカバーしません。だからやはりきちんとした情報を得て保険に入ることが大切だと思います。

重要なのは信頼できるディーラーかを見極めること

早田:一番怖いのは、ディーラーのふりをしている免許を持ってない人たちです。ノー・ライセンスなのにディーラーと名乗り、商売をしている人たちが実際にいます。何かあった時にも保証はないため、逃げられたら終わりです。車は大きな機械ですが、家と違ってお金を貯めれば案外手軽に手に入ります。だからこそ、購入する手段の見極めは重要だと言えます。

ジョン:新車でも問題が生じる場合があるので、中古車を買う時はより一層慎重になるべきですね。

早田:大切なのは、何年式のどの車を買うかということより、どこから買うか。自分がお金を渡した相手が、そのお金をもらった後もきちんと対応してくれるのかという点が重要です。しっかりとしたディーラーを見極めるポイントは、まず、ディーラー・ライセンスと店舗を持っているかどうか。特殊なケースですが、個人でライセンスだけ取って、自宅に店を構えている人も中にはいます。そういう所は、闇ディーラーとはまた違い、個人のディーラーなのですが、店舗がないため、個人で1台仕入れて、少し利益をのせて、その1台を売るというやり方をしているんです。そのため、いざ保証するとなった場合、同時に3台くらい車が来たら対応できません。店がないため資金力がないというのも懸念点です。また、闇ディーラー、裏側ディーラー、バックヤード・ディーラーと呼ばれている人たちは、免許を持っていないし、整備場も持っていません。彼らのよくある手口のパターンは、他人の名義を使い、他人名義から他人名義へと売るというものです。

ジョン:見極めるために、まずはディーラー・ライセンスを持っているかを聞いてください。オーストラリア国内には州ごとにレジスターがあるので、確認する方法があり、ちょっと調べれば情報が出てきます。ウェブサイトがあって、ちゃんとマーケティングをしている、そしてレジスターの情報も全部確認できれば、きちんとしたディーラーだと見極めることができます。

早田:怪しいと分かっているのに、安さに負けて買ってしまう人も多いですが、車は動かなくなったらそこで終わりです。安いからといってすぐに飛びつかず先々のことまで考慮して慎重に考えて欲しいですね。

──本日は、ありがとうございました。

WISE JAPAN

早田勇介
1993年福岡県生まれ。元プロマジシャン。起業家。趣味はサーフィン。小学生のころにマジックを始め、大学在学中に自分の店を持ちプロマジシャンの道へ。その後起業家に転身し防犯システム会社や買取専門店、WISE JAPANなど11年間で計9法人13店舗の立ち上げに携わり総売り上げ21億円を計上。毎日3歳になる愛犬ダルメシアンのポップを連れて出社している

CJM Lawyers

ジェイク・ジョン
ボンド大学法学部卒。NSW州最高裁判所及びオーストラリア高等裁判所に弁護士認定。一般民事事件、移民法、会社法、遺言・遺産相続など幅広い分野を取り扱う。英語・日本語・韓国語が堪能でPTEアカデミック試験90点(IELTS9.0相当)を取得。介護事業関係などコンサルティング会社の取締役経験4年。NSW州弁護士会、ゴールドコースト日本商工会議所、アジア・オーストラリア弁護士協会などに所属

※この記事に含まれる情報は、関心事項の一般的な概要を提供しておりオーストラリア国内のみに適用されることを目的としています。 また、CJM Lawyers は、Wise Japan Auto Groupまたは日豪プレスとの連携はなく、公平な立場を保ち、お客様に最良のサービスを提供しています。





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