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人間模様を見守る空の玄関口/タカ植松のQLD百景 第30回

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QLD百景

ブリスベン国際空港

 ブリスベンが、かつて”ブリスベーン”と表記されていたことを知らない人が増えている。その”ブリスベーン”表記を改めさせるべく、メディアに大きな影響力のある某通信社に働きかける運動を主導した身には少し残念な思いだ。ブリスベーンがブリスベンになった──。そんな過去を知ってか知らずか、ブリスベンは若い世代にワーホリや留学の目的地として大人気。かつての、どう足掻いてもシドニー、メルボルンには追い付けないオーストラリアの「名古屋」的な立ち位置(名古屋の方々、お気を悪くなさらず)は変わらずとも、ブリスベンの知名度は鰻登りだ。

 以前は、「オーストラリアのどちらに?」と聞かれて「ブリスベン」と答えると、薄いリアクションがディフォルトだったが、最近は違う。「あー、あのオリンピックの」となる。オリンピック、恐るべし。そのブリスベン五輪は8年後の2032年の開催。さすがにまだオリンピック熱が高まるのには早過ぎるが、オリンピック関連のトピックもチラホラと耳に入ってくるようになってきた。

 そんなオリンピック・ブーストもあって、とてつもない勢いで成長し変容していくブリスベンとその周辺地域。そこには、毎週千人単位の人びとが州境や国境を越えてやって来る。

 海外からやって来る人びとの大多数 を迎え入れるのが、ブリスベンの空の玄関口、ブリスベン国際空港。毎日多くの人びとが大きな希望を胸に降り立つ。そして、少なくない人が夢破れて帰国の途にも就いているだろう。

 ブリスベンの人の数だけドラマがあるとして、その中でも最もドラマチックなロケーションは空港だろう。希望あり、笑いあり、涙あり、そんな空港の喧騒に身をゆだねる時間が好きだ。

植松久隆(タカ植松)

植松久隆(タカ植松)

文・写真 タカ植松(植松久隆)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人

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