夏の水害警告も大きく現実的に
11月21日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、気象庁(BoM)が、シドニー地域で今後7日間は曇天、降雨が続くと予報しており、今後1週間はほぼ晴れ間を見ることはない。
BoMの気候学者、アガタ・イミエルスカ氏は、「この1週間は晴天の日は予想されておらず、なかでも21日にはこの1週間で最大の降雨量になると予想される。22日からはこれほどの雨は降らないが、晴天も期待できない」と語っている。
22日は最高気温摂氏23度、雨量は11mm。25日は再び降雨量が20mmに達するが、摂氏27度でじっとりと暑苦しい天候になる。また、24,25日は雷雨もあり得る。ただし、イミエルスカ氏は、「晴天の日はないが、洪水をもたらすような大雨もないことだけは救いといえる」と語っている。
この7日続きの曇天雨天そのものは洪水をもたらすほどではないが、シドニー地域のすべてのダムが満水になるとその後の夏の雨季にダム下流で洪水を引き起こす可能性があり、BoMの職員も懸念している。この日、シドニー市内では最高15mmの雨量があり、シドニー地域最大の水源地、ワラガンバ・ダムは、多雨が予想される今年の夏を前にして既に最高貯水位の99.2%に達している。
2020年の11月下旬にはワラガンバ・ダムは最高貯水位の96.4%だったが、2021年3月の大雨で貯水池の水がダムの堰を越えて溢れ始め、シドニー都市圏西部から北西部にかけてのホークスベリー=ネピアン地域に甚大な水害の被害をもたらした。
イミエルスカ氏は、「この雨はNSW州のかなり広い範囲にわたって集水域に多量の水を降らせ、貯水池はいずれも満水になっており、今後の荒れ模様が予想される季節に洪水のリスクを高めることになる。しかも土壌も水で飽和しており、河川も周辺土壌もこの雨を貯め込む余裕はなくなりつつある。そのため、今後わずかな雨でも洪水が起きることになる」と予想している。
■ソース
Wet, gloomy forecast for Sydney as summer flood risk looms large