検索
Close this search box.
検索
Close this search box.

ワーホリ後にオーストラリアに移住したリアルな体験談をお届け─ビザ・コンサルタントが解説⑥

SHARE

第6回目:ワーキング・ホリデー体験談①

 皆様、こんにちは。東京でオセアニア・ビザ・コンサルティング事業を運営している、AOMビザコンサルティング代表・足利弥生と申します。

 日本は今年、観測史上最も暑い夏となり、加えて豪雨や台風、地震など自然災害も多く、毎年地球温暖化と気候変動により過ごしにくくなってきていると感じています。避暑としてオーストラリアに出掛けるのも1つかもしれません。読者の皆様においては良い休暇をお過ごしになられたかと思います。

 本連載は半年ほど継続しており、だいぶ皆様もワーキング・ホリデーの背景やしくみ、そしてどういう政策のもとに位置付けられているか、理解が深まったのではないでしょうか。データを見ても、日本国籍のワーキング・ホリデー発行数はうなぎのぼりですが、半面過去に例を見ないほど、日本のメディアで報道されるようになりました。最近も朝の情報番組で特集されており、「渡航する際には英語力を身に着けること」がいかに重要か、すでに滞在している多くのワーキング・ホリデーの皆さんが切実に語っていました。

 前回、渡航前に考慮すべきポイントを幾つか提示しましたが、ワーキング・ホリデーが施行された40年以上前と比較して、現在何が大きく違うかと言うと、圧倒的に協定国が急増したことです。第3回のコラムで説明した通り、現在「Working Holiday (417)」19カ国と「Work and Holiday (462)」25カ国の計44カ国と協定があります。特に英語圏からの訪問者が非常に多いことから、必然的にオーストラリア労働市場における仕事獲得競争となるわけです。

 オーストラリアの雇用主の立場からは大前提として良い人材を求めますし、コミュニケーションが取れなければ仕事以前の話になってしまいます。残念ながら日本からのワーキング・ホリデー渡航者は圧倒的その点の準備が不足している、ということが大きな要因と予測しています。もちろん日本語ニーズのある仕事においても、自身が採用されるだけの職務経験や実績があるかなども考え、しっかりと準備をしなければ採用されないのはオーストラリアでも同じ状況です。

 オーストラリアのワーキング・ホリデー・ビザは他国と比べてビザ申請が簡単だと思います。ビザが取得でき、渡航できても、その後何をするのか、どのような目的でオーストラリアに滞在するのか、まずはしっかりと準備しなければ予測していたように過ごすことは困難です。

 今回は、ワーキング・ホリデーでオーストラリアに行き仕事を獲得して、現在はオーストラリアに永住し、事務職に就いている女性の体験談を紹介したいと思います。

ワーキング・ホリデーでオーストラリアに行こうと思ったきっかけや目的は?

「元々英語が好きだったこともあって、漠然と『いつか海外で生活してみたい』と思っていました。ただそれだけです。振り返ってみれば、ニセコでの経験がその“憧れ”を実際の行動に移す後押しになったと思います」

渡航前の日本での経歴は?

「大学を卒業後、フリーターでろくな職歴もなかった私は、ただ漠然と『英語を使う仕事がしたい』『あわよくば海外で生活したい』と思っていました。小学生のころに通っていた英会話スクールがきっかけで英語を好きになり、『ある程度の英語は話せる』と自信満々で、ニセコにある高級レストランでホールスタッフとして住み込みで働き始めました。自分の英語力の低さに気付くまで、そう時間は掛かりませんでした。オーダーが聞き取れない、しゃぶしゃぶの食べ方をうまく説明できない、予約の電話を取るのが怖いなど、みるみる自信がなくなっていきました。基本的な接客英語を勉強しつつ、つたない英語でもお客さんと会話するように心掛けて日々働いていました。シーズン終わりかけのころ、貯まったお金でフィリピンのセブ島へ3カ月間語学留学することを決めました。エージェントを通さずに自力で見つけた学校は、多国籍な学生が集まっているのが魅力の1つだったこともあり、そこで過ごした英語漬けの3カ月は一生忘れられません。その後またご縁があり、ニセコの同じ高級レストランで今度はマネージャーとして働くことになりましたが、語学留学のおかげで前シーズンとは比べられないくらい充実した毎日を送ることができました」

ワーキング・ホリデーでの渡航前にした準備は?

「まず優先するべきは貯金ですね。お金があれば渡航後に万が一のことがあっても、心の余裕はなんとかキープできます。あとは住民票や年金・奨学金の支払いなど行政的な手続きなどをどうするか。歯科治療は終わらせて行った方が良いですね。私は日本への一時帰国からオーストラリアに戻って来た直後に奥歯の古い詰め物が取れて、治療に300豪ドル掛かり、痛い出費でした。

 そして、もちろんある程度の英語力は必要です。流暢である必要はないにしても、最低限の会話力やリスニング力は付けて行った方が、仕事や家探しはもちろん、万が一トラブルに巻き込まれた際にできる対応が変わってきます。欧州や南米からもぞくぞくとワーキング・ホリデー・メーカーが来ており、ただでさえ飽和状態にありますが、最近オーストラリア政府は、フィリピン国籍にもワーキング・ホリデー・ビザの間口を広げることを発表しました。発給人数制限が設けられるようですが、英語が公用語になっているフィリピンの方々がオーストラリアに来るようになれば、ますます仕事や家探しは大変になることが予想されます。貯金と英語力はあればある程良いです」

どのように英語を勉強したのか?

「普段からジャンルを問わず洋楽を聞いていて、特に気に入った曲があれば歌詞を調べて歌ったりしています。あとは「Netflix」ですね。映画でもシリーズものでも、いつも英語の字幕付きで見ています。「Friends」は2回見ました。オーストラリアに来てからは、意識的にニュース番組を見るようにしています」

オーストラリアに到着してからの過ごし方は?

「オーストラリアに着いてからすぐに仕事探しを始めて、インスタ映えすることで有名になったカフェでホールスタッフとして働きました。コーヒーにこだわりのある人の複雑なオーダーに慣れるまで、とても時間が掛かりました。そこで6カ月働いた後は高級日本食レストラン、サウスバンクの五つ星ホテルで働くことができて、世界各国の友人ができました。ほぼ毎日遅くまで働き詰めでしたが、仕事終わりに飲みに行ったり、休みの日に車で遠出したり、とても充実していました。

 オーストラリアは日本と比べると物価が高いですが、私個人としては洋服のクオリティーやお菓子の種類などそこまで魅力的ではないので、日本にいた時と比べると物欲がほぼなくなり貯金が増えました。その分、日本へ一時帰国した際に爆買いです」

現地で苦労したことや大変だったことは?

「オージー・アクセントとスラングに慣れるのは大変でした。今でもたまに頭の中が『???』となることがあります。あと、カタカナ英語をネイティブとの会話の中で聞くと、聞き取れないことがいまだにあります。私は『オリーブ』が本当に聞き取れませんでした。英語の勉強に終わりはないですね。引き続き頑張ります。

 家探しも大変でした。シェアハウスに住んだこともあるのですが、Facebookのコミュニティーやアプリを使って探し、治安があまり良くない場所だったにも関わらず、急いでいたこともあり即決してしまいました。最近はシェアハウスやレントに関わる詐欺の手口が巧妙になってきているので、焦る気持ちを少しでも抑えて冷静に慎重に探すことが大切だと思います」

セカンド・ワーキング・ホリデー・ビザの取得は?

「セカンドは取らずに、パートナーがいたため、パートナー・ビザを申請しました。弁護士やエージェントを使わずに全て自分たちで申請したので、申請費用はもちろん、時間も労力も膨大に掛かりました」

ワーキング・ホリデー終了後の就職活動は?

「コロナ禍になる直前の2019年12月に日本に一時帰国したまま、ロックダウンによりオーストラリアへ戻ることができなくなりました。日本でのニート生活は1カ月ほどで飽きてしまい、英語対応オペレーターの仕事をすることにしました。英語での電話対応に苦手意識がありましたが、その仕事を通して克服することができました。

 その後、再びメルボルンに戻りましたが、ホスピタリティーで働くことは選択肢になく、『絶対にフルタイムのオフィス・ジョブに就く!』と決めて就活しました。縁があって現在の仕事に就くことができ、ワーキング・ホリデーで滞在していた時とは違った心持ちで生活しています」

これからワーキング・ホリデーでオーストラリアへの渡航を考えている方々へメッセージ

「英語と金銭面の準備さえしっかりすれば、あとは自分の好きなように過ごしたら良いと思います。自分の人生だから、人に何と言われようと関係ありません。合わないなと思ったらすぐに帰国しても良いし、気に入ったらセカンドをとって滞在を延ばしても良い。後悔しないように好きなこと思い切りしたら良いと思います。『ワーキング・ホリデーに行っておけばよかったな。行きたかったな』と後悔するくらいなら、思い切って飛び込んでみてください。多少失敗したって大丈夫です。振り返ればきっと全部良い経験だったと思えるはずです。自分の可能性を最大限に広げるためにも、渡航前に英語の勉強と貯金はしっかりしておきましょう!」

インタビューを終えて

「英語力」と「貯金」という点がリアルであり、日本にいながら英語力向上のためにニセコでアルバイトをしたという点もユニークでした。オーストラリアの環境を疑似体験することで現実を知ることができると思います。

 ワーキング・ホリデーは、現地で仕事をすることのみが目的ではありませんが、真剣に仕事探しをするためには英語力は必須であること、また物価を考慮しても貯金の大切さも念頭に置き、経済力によっては滞在期間を短くすることも1つの方法ではないでしょうか。

AOM Visa Consulting

足利弥生
■住所: 〒105-6027 東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー27階
■Tel: +81-3-4540-6305
■Web: https://aom-visa.com
■Email: info@aom-visa.com
■営業時間: 月〜金 9AM〜5:30PM(日本時間)

SHARE
ビザの最新記事
関連記事一覧
Google Adsense