Madame and Yves
シンプルで美しい、素材の味にこだわった
宝石のようなケーキたち
シドニー東郊クローベリーに位置し、『TheGoodFoodGuide』や『TimeOut』など、多くのメディアに取り上げられる人気カフェ「MadameandYves」。外観はモダンながら、伝統的なフランスのパティスリー文化を取り入れているのが特徴で、クロワッサンやバケットなどのベーカリーからケーキ、ジェラートまで幅広いメニューを扱っている。
屋外にもテーブルが置かれており、海を眺めながらケーキやコーヒーを楽しめる。カフェからクロベリー・ビーチへは徒歩10分ほどなので、散歩のお供にジェラートなどを購入する人の姿も少なくない。当カフェを立ち上げたオーナー兼パティシェのイヴ・シェラー氏は、ワールド・ペストリー・カップ2019のオーストラリア・チーム・コーチであり、オーストラリアで最高のパティシェの1人として名を知られる。イヴ氏は20年間パティシェとして世界中で腕を振るい、その後オーストラリアへと移住、10年目を迎えた際にカフェをオープンしたそうだ。
「全てのメニューは、シンプルで素材の味を生かすことを1番に考えて制作しています」とイヴ氏は語る。新鮮なオーガニック素材にこだわり、人口着色料や添加物は一切不使用。全てのメニューはカフェ内の厨房で一から作られている。イヴ氏は日本の食材にも造詣が深く、「ゆず」や「抹茶」を使用した繊細な甘さのケーキなども楽しむことができる。
季節限定メニューも随時開発しており、特にカフェを代表的するケーキである「Eclairzilla」は隔週で金曜日から日曜日限定のフレーバーを販売している。限定フレーバーの詳細はカフェのインスタグラムで告知され、事前予約も可能なのでこまめに確認することをお薦めしたい。
筆者1番のお薦めケーキは、バニラ・アンド・ヘーゼルナッツ・ミルフィーユ。サクサクのパイ生地に滑らかなバニラ・クリームが挟まれており、中にはとろりとしたヘーゼルナッツ・ソースが入っている。甘さ加減が絶妙で、クリームやヘーゼルナッツの素材本来のうま味が調和している逸品である。
昨年12月にオープンし、猛威を振るった山火事やCOVID-19のパンデミックなど多くの困難を乗り越え、地元の人びとに愛されるカフェになった同カフェ。味はもちろん、イヴ氏の人柄はじめ、カフェ内に流れる穏やかで気さくな空気も人気の理由であろう。
(リポート:大山芙佳、撮影:馬場一哉)