不動産のプロに聞く 豪州不動産事情
第81回
2019年2月までの不動産の物件数と価格について
2019年のスタートは、不動産市場にとって明るい幕開けとはなりませんでした。
不動産市場の調査会社である「SQM Property Research」の調査によると、18年の年明けに市場に出されていた物件数が30万4,000軒だったのに対し、19年は32万8,000軒でした。
都市ごとを比較してみると、メルボルンが昨年2万5,000軒だったのに対し、今年は3万6,000軒と42%も上昇しており、シドニーの22%増とキャンベラの25%増を大きく上回る結果となっていました。ブリスベンは8%増、パースは6%増、アデレードは2%増と続き、ホバートとダーウィンは18年よりも物件数が1~2%減りました。
また、メルボルンに本社を置く不動産専門広告会社「REA Group」が運営する住宅情報サイト「realestate.com.au」では、オーストラリア主要都市の現在の不動産価格をピーク時と比べ、シドニーが17年9月のピーク時から9.9%の下落、メルボルンは18年4月のピーク時から4.1%下落し、19年6月までにシドニーは11%、メルボルンは6%まで下がると予想しています。
不動産市場は厳しい状況ですが、失業率は7年ぶりに低水準となり、オーストラリア全体では5%とニュー・サウス・ウェールズ州では3.9%の低水準です。雇用があることで、今後も不動産の需要は見込まれていますが、連日のように不動産価格の下落が報道されている中でタイミングを見計らっているのではないでしょうか。とはいえ、エリアによっては下落に影響されず、現在もオークション落札率が高いエリアもあります。エリアとタイミングが今後も鍵になるかと思います。
スターツ・インターナショナル・オーストラリア
取締役シドニー支店長
寺田環
NSW州、VIC州不動産業者免許(フル・ライセンス)所持