オーストラリアで夢のマイホーム計画
第133回 更なる金利カット
先月号のコラムの冒頭で「3年間変更されることのなかった政策金利がカットされた」と書いたばかりでしたが、まさか今月号の冒頭でも政策金利カットについて書くことになるとは思ってもいませんでした。オーストラリア準備銀行は、6月に続き政策金利をカットし、現在1%となっています。
前回、0.25%のカットを全額パスしなかったとして非難を受けたANZ銀行は早々に全額をパスさせました。その他の銀行の結果は以下の通りです。
銀行 | 6月金利カット | 7月金利カット |
---|---|---|
CBA | 0.25 | 0.19 |
Westpac | 0.20 | 0.20 |
NAB | 0.25 | 0.19 |
ANZ | 0.18 | 0.25 |
※金利カットの数字は居住用変動型金利の場合
融資査定用金利のカット
今回の金利カットは住宅ローンを持つ多くの人の財布にうれしいニュースです。では、これから物件を購入したい人にとってはいかがでしょうか。実は、銀行の厳しい融資条件が変わることがなければ、融資を受けること自体が難しいのは依然として変わらず、低い金利の恩恵も受けられないままです。
今の融資条件の背景にはオーストラリア健全性規制庁(APRA)によるルールがあります。銀行が融資ができるかどうかを査定する際に利用する金利は、それぞれの銀行が持つ金利にかかわらずAPRAが指定する7.25%を利用することが義務付けられています。実際の金利は歴史的に最低とも言える金利であるというのに、査定用金利が7.25%であるため、融資枠にも影響が出ているわけです。
7月5日にAPRAはこの査定金利ルールを緩和し、それぞれの銀行の裁量に任せるという発表を出しました。ABCニュースの記事によると、査定が6.25%に下がった場合には申請者がカップルで合計年収が10万豪ドルの場合、これまでより6万豪ドル多く融資枠の結果が出ると言えます。
融資は緩和されるのか
APRAの発表に伴い、査定用金利は多くの銀行が7月15日以降に変更しました。査定用金利が下がることは融資枠に影響を与えるため緩和されることは確実です。しかし融資の審査プロセスまで緩和されたわけではないので、実際にどのくらい緩和されているのかはこれからの銀行の対応で見えてくると言えるでしょう。
もしも数カ月前に融資枠の相談に行かれたのであれば、再度融資枠について相談に行ってみてはいかがでしょうか。きっと以前より融資枠が増えているはずですよ。
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住宅ローン・コンサルタント(MFAA正式会員)
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