本好きにとって、トレンドに取り残されてしまうのはつらいところ。本連載では、シドニーCBDに店を構え、KINOと親しまれるオーストラリア紀伊国屋書店協力の下、トレンド・キーワードと共に読み逃せない話題の3冊と、日本のトレンドをキャッチするための最新ランキングをご紹介していきます。
あっと言う間に3月。オーストラリアは秋の始まりですね。秋と言えば、月や無数の星たちを眺められる「秋の夜」。昔から人びとを虜にしてきた宇宙ですが、昨年12月に民間宇宙船で宇宙へと旅立ち、国際宇宙ステーションに12日間滞在した日本の億万長者、前澤友作氏のニュースは衝撃的でしたね。近い将来、宇宙旅行はもっと身近になっていきそうです。今月はまだまだ私たちにとって未知の世界「宇宙」について勉強できる本を紹介したいと思います。
今、売れている本は? ベストセラー・ランキング(2022年1月1日~7日)
■新書ベストセラー
1 | ヒトの壁 | 養老孟司 | 新潮社 |
2 | スマホ脳 | アンデシュ・ハンセン/久山葉子 | 新潮社 |
3 | 今を生きるあなたへ | 瀬戸内寂聴/瀬尾まなほ | SBクリエイティブ |
4 | 70歳が老化の分かれ道 | 和田秀樹 | 詩想社 |
5 | 最強脳「スマホ脳」ハンセン先生の特別授業 | アンデシュ・ハンセン/久山葉子 | 新潮社 |
■文庫ベストセラー
1 | 日本国紀上新版 | 百田尚樹 | 幻冬舎 |
2 | 日本国紀下新版 | 百田尚樹 | 幻冬舎 |
3 | そして、バトンは渡された | 瀬尾まいこ | 文藝春秋 |
4 | 三千円の使いかた | 原田ひ香 | 中央公論新社 |
5 | 元彼の遺言状 | 新川帆立 | 宝島社 |
今週のトレンド・キーワード「宇宙について」
究極の「宇宙の法則」を目指して
『宇宙はなぜ美しいのか』
村山斉
幻冬舎(価格:A$27.21<会員価格:A$24.49>)
夜空を彩る満天の星や、皆既日食・彗星などの天体ショー。古来より人類は宇宙の美しさに魅せられてきた。その美しさの秘密は「高い対称性」「簡潔さ」「自然な安定感」の3つ。はたして人類永遠の謎である宇宙の成り立ちを説明する「究極の法則」も、美しい理論から導くことができるのか? 最新の研究成果をひもとく知的冒険の書。
難しい数式なしで最新の天文学
『宇宙一わかる、宇宙のはなし』
日本科学情報/渡部潤一
KADOKAWA(価格:A$33.02<会員価格:A$29.72>)
「宇宙の果てはどこにある?」「地球の始まりは雲だった」「太陽の寿命はあと半分しかない」「人工ワームホールは理論上可能!」「宇宙の最期は“点”になる?」など、エキサイティングな宇宙の話が満載。難しい数式などは一切使われておらず、知識ゼロでも優しい解説と見やすい図で、最新の天文学が分かる。
旅する、はたらく、暮らす、知る
『14歳からの宇宙活動計画』
インフォビジュアル研究所
太田出版(価格:A$33.02<会員価格:A$29.72>)
宇宙はどんどん身近になり、もはや夢ではなくなった宇宙旅行や火星移住計画。1章:宇宙カレンダー 2019年から近未来まで/2章:地球を脱出して宇宙を目指す/3章:もう1度月へ行こう/4章:太陽系のもっと遠くへ/5章:ボイジャー君 宇宙の謎への飛行──。既に動き始めた2100年までの宇宙プロジェクトに、君が将来働く場所が!?
ランキングからPick up!
『元彼の遺言状』
新川帆立/宝島社
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」──。元彼の森川栄治が残した奇妙な遺言状に導かれ、弁護士の剣持麗子は「犯人選考会」に代理人として参加することになった。数百億円に上る遺産の分け前を勝ち取るべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走するが、栄治の顧問弁護士が何者かによって殺害され……。
KINOKUNIYA便り
3月に入って日がだんだんと短くなってきて、秋の訪れを感じるころですね。とは言え、まだまだ外で思い切り遊べる季節ですので、夏の終わりを満喫したいものです。さて、今月は宇宙についての本の特集です。ストレスを感じることの多いご時世ですが、ふと空を見上げて宇宙に思いを馳せてみるとすっきりした気分を味わえるのではないでしょうか。本を読んで知識が増えれば、普段見る空も違って見えるかもしれません。