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セントラルQLD 宝石ヶ原のサファイア その4 /トミヲが掘る!宝石大陸オーストラリア 第20回

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Central Queensland Gemfields / Sapphire

 サファイア探索が2日目に入り、ようやく歓喜の雄叫びを上げられたので、そこでランチ休憩にし、午後は近場の散歩から。昨夜の大雨でできた水溜まりはほとんど引き、散歩ができる状態になっていた。

朝の散歩。どこでどんな出合いがあるかは分からない。石探しは歩くのが一番大切なのだ!

 「掘れば掘るほど、歩けば歩くほど石に出合えるチャンスは増える」との石探しの大原則を実践すべく、前屈み作業で硬くなった腰をストレッチさせつつ歩き回る。

 しかし、午後もいきなり歓喜から、というのはさすがに虫が良過ぎたのか、2時間ほど掛けたが全く収穫なしで宿に戻る羽目となった。朝からの慣れない過酷な作業で疲労困憊の同行の2人は、体を横たえた途端に寝息を立て始めた。

 軽く1時間ほど昼寝してからは、日没まで裏庭で石洗いをするが、ここでもなかなか大物には出合えない……。宝石探しの苛酷さを改めて実感しながら日没を迎えると、空には稲妻が走り、雨が降り始めた。

 シャワーを浴びてからありついた晩ご飯は、朝仕込んでいた肉と野菜をスロー・クッカーで調理したシンプルな1皿。調味料を一切使わないその味は、体力を消耗した体にはとにかく優しい。

 食後は心地好い稲妻と雨音をBGMに、そしてライトで照らしたトモ君が見つけた緑色のサファイアをつまみに、皆でウイスキーをチビチビ。そうしているうちに眠気が襲ってきて、「明日はどんなサファイアに出合うかな」などと淡い希望を抱きつつ、深い眠りに誘われた。

トモ君が見つけた5.2カラットの黄色み掛かった深緑色のサファイアがこちら! 夜見ると色は昼間と違う。いろいろな光で楽しむのがサファイアの醍醐味だ

 翌朝、ギャーギャーという野鳥の大合唱で目が覚めた。庭に植えられた「Drunken Parrot Tree(学名Schotia brachypetala)」の花が満開の季節。その真っ赤な花の甘い蜜は、ロリキートやノイジー・マイナーなど野鳥の大好物で、その名の通りに無数の鳥が酔っ払ったかのように朝から大声を上げ群がってくる。

 願わくば、もうちょっとだけ寝ていたかったが、さすがにうるさ過ぎて、早々に寝床から這い出た。

 昨晩の降雨量は35mm。その前夜の半分以下だが安心はできない。たっぷり雨水を含んだ地表に更に35mmの雨水が振り注ぎ、前日同様にウィローズの町のあちらこちらに水溜まりができた。

 ラジオに耳を傾けるマイクさんによれば、「隣町のサファイアでは町を流れるリトリート・クリークの水位が上がり、住民は避難し始めている」という。

 西のエメラルドの町までは運転可能だが、そこから北のクレモント(Clermont)、南のスプリングチュア(Springture)は昨日に引き続き通行止め。今晩、もし激しい雨が降ればエメラルドの西に位置するコメット(Comet)も通行止めになり、いよいよウィローズが陸の孤島と化す可能性が高くなってきた。

 とは言え、昨晩の雨で地表の土が更に流され、サファイアに出合えるチャンスが増している。そんなチャンスをみすみす逃してはなるまいと、朝食前に宿の周りに探りを入れてみたが、小1時間歩いても収穫なしと、幸先はよろしくない。

 朝食後、昨日と同様にマイクさんの土を手洗いするが、何も収穫がないままあっという間に昼食の時間を迎えた。

満開のDrunken Parrot Tree。早朝から興奮した鳥たちが大騒ぎしながら朝ご飯にありついている。この場所では目覚ましアラームは不要

 午後は気分転換がてらエメラルドまでのドライブ。町のショッピング・センターにあるグロリア・ジーンズ(オーストラリアのメジャーなコーヒー・チェーン)の甘~いフラッペで糖分補給。久しぶりの糖分が疲れた体の隅々まで染み渡る。

 その足で町の案内所に通行止めの箇所を確認に行くと、興奮気味の係の人の「こんな大雨生まれて初めてだ。町の西のコメットは現在片車線通行だけで通れるけど、明日のことは分からない」との言葉に、改めて今回の大雨の被害の凄さと現実を突きつけられた。

 帰りにアナキーに寄ると、軽く歩き回っただけで、加工可能な大物とはいかないでも、小ぶりな物はすぐに見つかった。どんなに小さくてもサファイアはサファイア。何よりも“坊主”で1日が終わるよりかは断然気分が違う。

石の入ったふるいを洗い、勢い良くひっくり返す。さぁ、サファイアはいずこに!?

 宿に戻って、マイクさんに交通状況を報告すると「トミヲ、今晩大雨が降らなければ明日は機械を使ってサファイア探しができる。でも、雨がひどかったら当分は帰れないぞ。もし雨が上がったとしても、明後日あたりからサンドフライが大発生だ」と。つまりは、どっちに転んでも大変だということだ。

 連れの2人に明日は朝から機械でサファイアを探し、昼には安全で大きな町のエメラルドに避難するのが得策だと納得してもらう。明日の作戦が決まれば、残すは晩ご飯だけ。トモ君特製ポーク・ソテーのパイナップル・ソース添えに舌鼓を打った。

 今夜も雷は夜空を駆け巡るが、雨はさほど激しくない。頼む、このままで……と祈りながら、眠りにつく3人だった。

(この稿、まだまだ続く)

このコラムの著者

文・写真 田口富雄

在豪24年。忙しい中に暇を見つけては愛用のGoProを片手に豪州各地を掘り歩く、石、旅をこよなく愛するトレジャー・ハンター。そのアクティブな活動の様子は https://www.treasurehuntingaustralia.com/に詳しく。宝探し、宝石加工に興味があれば必見。前・ゴールドコースト宝石細工クラブ理事長

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