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「殺られる前に殺れ!」 シドニーのギャング親玉暗殺、事件の背景に何が?

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1月末までに容疑者7人逮捕 首謀者はかつての仲間か

1月2日にシドニー近郊で強制捜査を行いモラディアン暗殺事件に絡む容疑者の1人を連行するニューサウスウェールズ州警察の特別捜査班(Photo: NSW Police Force)

 オーストラリア東部シドニーのマンション駐車場で2023年6月、犯罪組織のボス、アレン・モラディアン受刑囚(当時48)が射殺された事件。かつての仲間だった男がボスの暗殺に至った経緯が、徐々に明らかになってきている。

 事件が起きたのは、世界的に有名なシドニー東郊ボンダイ・ビーチに近く、日本人在住者も多い商業地区ボンダイ・ジャンクション。23年6月27日午前、通報を受けて駆け付けたニューサウスウェールズ州警察の警官が、高層マンション地下駐車場の車内で銃撃された男性を発見し、現場で死亡を確認した。

 男性は、コカインの輸入や密売などで16年9カ月の実刑判決を受けて服役した後、仮釈放されていたモラディアンだった。州警察は裏社会の抗争が背景にあると見て、特別捜査班を組織して事件の全容解明を進めていた。

懸賞金付きで命狙われて身を隠す

 メディア大手「ニューズ・コーポレーション」のニュースサイトは、州警察筋の情報を元に、モラディアンが事件の首謀者と見られる男(逮捕当時42=コードネーム:AA)の殺害を計画したことが、事件の発端となったと報じている。

 これによると、AAはかつてモラディアンの仲間で親しい友人だったが、裏社会の抗争で袂を分かった。AAは昨年6月、モラディアンから命を狙われているとの情報を察知。「殺される前に殺してしまえ」とばかりに、AAは逆にモラディアンの暗殺計画を練った。

 ところが、モラディアンの居場所を突き止めるのは簡単ではなかった。モラディアンを狙っていたのはAAだけではない。AAが殺害を計画する以前の22年末の時点で、モラディアンは「懸賞金付きで命を狙われている」との話を州警察から聞かされていた。身の危険を感じたモラディアンはその後、自宅を離れて警備が万全な高層マンションに身を隠した。車も頻繁に乗り換え、居場所がバレないようにしていた。

妻の位置情報が命取りに

 AAは暗殺の実行グループを組織し、アマゾンで購入したGPS発信機をモラディアンの妻、ナターシャの車に取り付けることに成功した。ナターシャの車の位置をリアルタイムでAAのスマホで確認できた。しかし、ナターシャの行動は突き止めたが、肝心のモラディアンが見つからない。

 そんなある日、ナターシャの車はボンダイ・ジャンクションにある高層マンションから一晩、動かなかった。AAたちはついにモラディアンの隠れ家を探し当てた。6月27日午前8時30分ごろ、実行役のヒットマンが黒いアウディの車内にいたモラディアンを見つけ、至近距離から頭部と胴体に7発の銃弾を浴びせて殺害した。

 犯行に使用したポルシェのSUV(スポーツ多目的車)とホールデンの2台の車両は同日、シドニー近郊で相次いで発見された。いずれもこれまでのギャング同士の抗争事件と同じく、証拠隠滅のため燃やされていた。

 AAは殺人などの容疑で昨年9月に、実行役と見られる男(24)は殺人、違法薬物や銃器関連などの容疑で今年1月3日にそれぞれ逮捕、起訴された。逃走車の運転手を務めた見られる男(21)も1月25日に捕まり、同事件に絡んでこれまでに合計7人の身柄が拘束されている。

■ソース

Chilling detail in Sydney carpark shooting(news.com.au)

Alleged gunman charged over fatal shooting of Alen Moradian – Task Force Magnus(NSW Police Force)

Seventh man charged in fatal shooting of Alen Moradian – Strike Force Parachuter(NSW Police Force)





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