カンタス機、油圧装置の不調で緊急着陸
12月15日朝、パースに向けてシドニー空港を離陸したカンタス機が間もなく油圧装置の不調でシドニー空港に戻って緊急着陸。乗客は非常用シュートを使って脱出するという事故が起きた。
ABC放送(電子版)が伝えた。
同日午前8時45分に271人の乗客を乗せて離陸したQF575、エアバスA330-200型機は、離陸後20分ほどして、機長が機内放送で「油圧装置の不調のため、シドニー空港に戻る」と乗客に伝えた。
乗客がABC放送に語ったところによると、着陸後、機内に煙らしいものが充満し、機体はターマックの上に立ち往生した。滑走路で牽引車を待っているうちに機内に物の燃える臭いが立ちこめ始めた。
その直後、機内放送で機長が、「脱出!」と叫んでいる。
乗客の一人は、「一瞬、間を置いて、事態が飲み込めてきた。みんな大あわてで機体側面のシュートで脱出し、飛行機から離れるように逃げ惑った。
カンタス航空のデビー・スレード機長は、「油圧液漏れが起きたため、着陸コントロールやフラップ操作に差し支える結果にもなりかねなかった。おそらく、油圧液が空調システムに吸い込まれたのだと思う」と語っている。さらに、「煙探知機は鳴らなかった。煙のように見えたのは油圧液の噴霧かも知れない。一部の乗客は眼のかゆみ」や、喉の不快感を訴えており、おそらく油圧液に晒されたことが原因でないかと思う」と述べている。
また、緊急着陸後、乗客が一斉に非常用シュートに詰めかけたため、パニック状態の乗客に押しのけられて腕や脚に擦り傷を負った乗客、座席から飛び出す際に頭上のロッカーに頭を打ちつけた乗客もいる。
10か月の娘と3歳の息子を連れて乗ったニーブ・チャンピオンさんは、「油圧装置に深刻な不調があって、そのままパースに向かっていたら破滅的な結果になっていたかも知れない」と語っている。
カンタス航空が声明で「着陸後、ゲートに向かったが、機長が、安全のために緊急避難を決定し、3箇所の非常用シュートを使った」と発表しており、NSW州救急隊は、「乗客の一人が軽傷のため、ロイヤル・プリンス・アルフレッド病院に運ばれ、他の負傷者は現場で傷の手当を受けた」と発表している。
■ソース
Passengers evacuate in ‘a mad scurry’ after Qantas plane forced to return to Sydney