オーストラリア、29年間で初の不況入り確実

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2020年3月四半期GDP縮小、今後も悪化

 6月3日、ジョッシュ・フライデンバーグ財相は2020年3月四半期のGDPが前四半期より縮小しており、過去29年間で初めての不況に入ることは確実と語った。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 2020年初めはブッシュファイアが長引いており、間を置かずにコロナウイルス・パンデミックが始まるというダブル・パンチを受けてオーストラリア経済も早くから不況入りが予想されていた。

 3日の発表では、第一四半期にはオーストラリア経済が0.3%縮小しており、現在もコロナウイルス・ロックダウンで縮小が続いていることから2020年第二四半期のGDP縮小で29年ぶりの不況になる。

 同期間に純輸出と、コロナウイルス買いだめによる生活必需品消費の伸びがあったが、他の部門、特に観光関係が活動をほぼ停止しており、相殺するにも不足だった。

 一般にエコノミストの間ではGDPが四半期2期続けて縮小すれば不況と定義しており、前回不況が起きたのは1991年前半四半期2期連続でGDPが縮小し、ボブ・ホーク労働党政権のポール・キーティング財相が、「やむを得ない不況」と呼んだことが長く言い伝えられている。

 豪統計局(ABS)のブルース・ホックマン主任エコノミストは、「コロナウイルスの影響が全面的に現れる前から経済の年成長率は過去10年以上、世界金融危機のさなかの2009年9月以来最低の数字になっていた。しかも第二四半期はコロナウイルスの影響が出始めたばかりの頃だ」と語っている。

 フライデンバーグ財相は、「オーストラリアは不況に入ったがもっと悪くなる可能性もあった。第二四半期にはGDPが20%下がる可能性も考えていた」と語っている。

 また、「長引く旱魃でこの四半期に農家のGDPは2.4%下がっている。その上多くの州を襲ったブッシュファイアで経済活動が破滅的な影響を受けた。その上にコロナウイルスで芳しいニュースは何もなかった。そういうことを考えると、第一四半期のGDP縮小が0.3%に収まっているというのはオーストラリア経済の粘り腰を示している」と語っている。
■ソース
Australia in its first recession in 29 years as March quarter GDP shrinks

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