下値メドはコロナ禍の55.10米セント!?

いわゆる「トランプ関税」のインパクトは、為替市場にも波及している。ボラティリティー(値動きの激しさ)が高い資源国通貨の豪ドルは、対米ドルで大幅に下落していて、コロナ禍の安値をうかがう展開となっている。
ロイター通信によると、外国為替市場の豪ドル・米ドル相場は7日朝、一時、1豪ドル=59.33米セントと節目の60米セントを割り込み、5年ぶりの安値を記録した。先週3日からの下落幅は3米セントを超えた。
豪ドルは対円でも急落している。豪東部時間7日夕方の時点で1豪ドル=87円50銭前後と、先週初めから約6円安い水準で推移している。
米国にとってオーストラリアは貿易黒字国であるため、トランプ関税の税率は10%と控えめだ。オーストラリア経済に与える直接的影響は、対米輸出が多い牛肉、25%関税が既に発動したアルミニウムなど一部に限られると見られている。
ところが、米国の対中関税で中国の対米輸出が鈍化し、中国経済が打撃を受けて原材料需要が縮小した場合、中国向けが圧倒的に多いオーストラリア産の鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの資源輸出が縮小し、コモディティー価格も下落。オーストラリア経済は間接的に大打撃を受ける可能性がある。
こうした見方が、豪ドルが売られている背景にある。ロイターは「4日の4.5%の下落と合わせると、2日間の下げ幅は2020年初頭以来最大となる見通しだ。次の下値のメドは、新型コロナ感染拡大時の安値55.10米セントまで見当たらない」と指摘している。
■ソース
Australia dollar dives to five-year low as markets bet on big rate cuts(Reuters)