既にインフレ圧力増大始まる
1月31日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、現在のオーストラリア経済にインフレ圧力が高まっていることから、中銀(RBA)が資金を大量に送り出す量的金融緩和政策を終了する動きを伝えている。
2月1日は月の第一火曜日にあたるため、RBA理事会が開かれることになっている。
RBA理事会では、既にインフレが始まっていることから、コロナウイルス不況からオーストラリア経済を守るために取られていた緊急措置を逆転する大規模な方向変換が決定されるものと予想されている。
RBAの量的金融緩和政策は2020年に始まっており、この2年間に通貨を市場に送り出すために買い上げた連邦・州の政府債券は総額3,370億ドルという記録的な額に達している。
量的金融緩和政策は、通貨を製造し、政府債券などの資産購入を通してその通貨を経済に送り込むことでインフレ傾向を創り出すもので、ほぼゼロ金利になっていた後、コロナウイルス不況を防ぐためにRBAが採用してきた戦術だが、その目的がほぼ達成でき、インフレ圧力が強まったことから、この政策の終わりが予想されていた。
RBAの債券保有高は、連邦債が2,720億ドル、NSW州債が161億ドル、VIC州債が142億ドル、QLD州債が184億ドルなどとなっており、2020年3月のパンデミック宣言の前にはわずか160億ドルの保有高しかなかった。
量的金融緩和政策により、政府債券の利率を記録的な低水準に抑えつつ、経済全体に向けて通貨をつぎ込むことができた。RBAは2021年11月の理事会でそのプログラムを週40億ドルにまで縮小することを決めた。それ以来、オーストラリアの失業率は4.2%にまで下がっている。
一方、RBAは2020年に11月に政策金利を0.1%という記録的な低利にまで引き下げており、金融市場はRBAが5月には金利引き上げに転じるものとみているが、8月か9月頃まで様子を見るのではないかという観測もある。
しかし、2021年11月にはフィリップ・ロウRBA総裁が、2022年には金利引き上げに転ずるのではないかという市場の値踏みは、インフレ圧力に対する過剰反応ではないか、と発言しており、その可能性がほとんどないことをほのめしている。
しかし、先週のデータで、2021年第4四半期には消費者物価が1.3%上昇しており、前年1年間で3.5%の上昇になっていた。しかもRBAにとって気がかりなのは基調的インフレ率も2.6%に上昇していることだった。
■ソース
RBA to end big spending QE program as inflation pressures grow