消費者団体がプライバシー侵害と問題視
高度なテクノロジーを駆使した監視社会は、SF映画の世界や一部の先制主義国家だけではなく、豪州の小売業界でもすでに現実のものとなっている。豪大手小売企業3社が、監視カメラを使った顔認証システムを導入していることがこのほど、豪消費者団体「チョイス」の調べで明らかになり、豪情報管理局(OAIC)が調査に乗り出した。公共放送ABC(電子版)が伝えた。
チョイスが「最も信頼できる豪州の小売業者25社」を対象に調査したところ、ホームセンターの「バニングス」、ディスカウント小売りチェーンの「Kマート」、家電小売チェーンの「グッド・ガイズ」の3社が、顧客が知らないうちに顔認証システムを導入していたという。
チョイスは、3社が顧客の生体情報を取得していることについて、「(プライバシーを)侵害する技術を用いて顧客の機密情報を獲得することは倫理に反しており、消費者の信頼を確実に失わせる」と批判した。
グッド・ガイズはOAICの調査に協力し、既に顔認証システムの使用を中止したと伝えられている。
一方、バニングスは反論している。同社のサイモン・マクドウェル最高執行責任者(COO)は、顔認証技術の目的について「過去に私たちの店舗で問題を起こした人物を特定するためだ」と回答。顧客が知らないうちに生体情報を抜き取られているとの批判に対しては「監視カメラと顔認証システムの使用については、店舗入口の看板に記載しており、ウェブサイトのプライバシー保護方針にも明記している」と述べている。