20代男女巡査2人が殉職
オーストラリア北東部クイーンズランド(QLD)州のワイアンビラの民家で12日、捜査中の警官2人と付近の住民1人が射殺された事件。容疑者の男2人と女1人も現場で警察に射殺されていたことが新たに判明した。死者数は合計6人となり、オーストラリアで発生した警官の殉職事件としては近年でまれに見る惨劇となった。
静かな農村でいったい何が起きた?
13日午後のQLD州警察発表によると、事件は12日午後、ブリスベンの西方約280キロの農村地帯にあるワイアンビラの木造家屋で起きた。
午後4時30分ごろ、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州で家族から失踪届が出ていた人物を探すため、捜索に向かった州警察の警官4人が武装した容疑者に銃撃を受け、現場で警官2人と近隣の住民1人の死亡が確認された。
容疑者に撃たれて殉職したのは、地元のタラ警察署に勤務する男性のマシュー・アーノルド巡査(26歳)と女性のレイチェル・マックロウ巡査(29歳)。隣人男性のアラン・デアーさん(58歳)も死亡した。
2人に同行していた別の警官2人のうち、チンチラ警察署のランドル・カーク巡査(28歳)は銃弾を受けて負傷し、搬送先の病院で手当を受けている。また、同警察署のキーリー・ブロー巡査(28歳)も搬送されたが退院した。
元教育者がなぜ強い殺意を抱いた?
公共放送ABC(電子版)によると、容疑者らは2人を銃撃した後、車に火を放ったという。火事の様子を見にきた隣人のデアーさんも撃たれ、死亡した。銃撃を免れたブロー巡査が無線で増援を呼び、州警察の航空隊と特殊部隊が現場に急行。州警察は治安維持法に基づく緊急事態を発令し、現場付近を封鎖した。
容疑者らは増援の警官隊に対して発砲を続けた。事件発生から約6時間後の午後10時30分ごろ、警察は現場の家屋で容疑者3人を射殺した。
射殺されたのは、NSW州で失踪届が出ていたナサニエル・トレイン容疑者(46歳)と、民家の所有者である兄のギャレス・トレイン容疑者(47歳)とステイシー・トレイン容疑者(45歳)の3人。ステイシー容疑者はギャレス容疑者の妻と見られる。
ナサニエル容疑者は2017年までQLD州北部のヨーキーズ・ノブ州立学校で校長、21年8月から今年3月まではシドニーの北西約700キロに位置するNSW州北部のウォルゲット・コミュニティー・カレッジ小学校で校長をそれぞれ務めていた。
同容疑者は心臓発作を理由に退職した後、昨年12月にNSW州西部ダボで最後に目撃された後、今年10月から連絡が取れなくなっていたため、家族から失踪届が出ていたという。
警官は民家の敷地内に入ったところ、半自動小銃と見られる武器で銃撃され、2人は即死だったもようだ。容疑者が行方不明となっていたのはなぜか。強い殺意を持って警官を撃った理由は何か。現時点では、事件の背景や犯行動機は謎のままだ。
■ソース
Update 3: Major police incident, Wieambilla(QLD州警察発表)
Brothers Nathaniel and Gareth Train identified as gunmen in Queensland siege(ABC News)