オーストラリア統計局
約30年ぶりの激しいインフレが、頭打ちする兆しを見せていない。オーストラリア統計局(ABS)によると、2022年11月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比7.3%と10月の6.9%から0.4ポイント加速し、1991年以来の高水準を記録した9月の7.3%に再び並んだ。
CPIの季節調整値は前年同月比7.4%(0.5ポイント上昇)、中央銀行の豪準備銀(RBA)がより重視する「トリム中央値」(極端な物価上昇を除いたインフレ率)は5.6%(0.2ポイント上昇)、「価格変動の激しい品目(果物と野菜、自動車燃料)を除くCPI」は6.7%(0.3ポイント上昇)だった。
品目別の上昇率は、「住居費」が9.6%(0.9ポイント下落)と最も高く、「食品・非アルコール飲料費」(9.4%=0.5ポイント上昇)、自動車燃料(16.6%=4.8ポイント上昇)を含む「交通費」(9.0%=1.6ポイント上昇)、「家具・家財道具およびサービス費」(8.4%=0.6ポイント上昇)、「娯楽・文化費」(5.8%=2.5ポイント上昇)などがこれに続いている。
住居、食品、燃料が引き続き高い
ABSの分析によると、人件費や建築資材の高騰を背景に、新築費用の上昇率が17.9%(2.5ポイント下落)、家賃が3.6%(0.1ポイント上昇)と依然、高い水準にあることから、全体の物価を押し上げているという。
また、サプライチェーンの目詰まりや原料費の高騰、東部の洪水による果物・野菜の供給減などを背景に、食品価格も上昇している。
連邦政府の燃料税減税が9月末に打ち切られたことから、ガソリン代も10月から11月にかけて上昇したという。ただ、全国平均のレギュラー・ガソリン価格は11月初めに1リットル当たり2豪ドル強でピークを打ち、11月末までには1.8豪ドル弱の水準まで低下した。1月初旬の時点では1.7豪ドル前後まで落ち着いている。インフレを押し上げてきた燃料価格が、今後の物価動向に与える影響が注目される。
中銀は2月に9会合連続で利上げへ
RBAは激しいインフレを抑え込むため、22年5月以降8会合連続という前例のないペースで政策金利を引き上げてきた。ただ、インフレを押し下げる効果が出てくるまでには、時間がかかるとしている。RBAの予測では、22年12月にCPIは8.0%前後でピークを打つという。
RBAは今年も上半期は金融引き締めを続ける公算が高いと見られている。物価が依然、高水準を維持していることが確認されたことで、RBAは2月7日の今年最初の理事会(1月は休暇のため閉会)で、9会合連続で利上げを行う見通しだ。利上げ幅は0.25ポイントが有力視されており、現在3.10%の政策金利を3.35%とする可能性が高い。
■ソース
Monthly Consumer Price Index Indicator, November 2022, Australian Bureau of Statistics