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海藻の大規模養殖で温室効果ガス削減目指せ オーストラリアの研究チーム

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食糧や飼料、バイオ燃料に利用

海底に自生する外来種のワカメ。船底に付着したものがオーストラリア南部一帯に広がった(Photo: CSIRO)

 オーストラリアのクイーンズランド大学の研究チームがこのほど発表した論文によると、世界の広い海域で海藻の養殖を行えば、温室効果ガスの大幅な削減など環境負荷を低減できる可能性があるという。英紙「ガーディアン」豪州版(電子版)が報じている。

 海藻は、食糧のほか、家畜の飼料やバイオ燃料に利用できるエコな原料だ。この研究によると、34種の海藻について調査したところ、オーストラリアやインドネシアなど海に囲まれた国・地域を中心に、世界で合計6億5,000万ヘクタール(オーストラリアの国土面積は約7億6,880ヘクタール)で海藻を養殖した場合、野菜生産を代替することで陸上の農地を減らし、温室効果ガスや農業用水、肥料を削減できるという。

 2050年までに人間の食糧の10%を海藻に置き換えることができれば、食糧生産に必要な土地を1億1,000万ヘクタール(フランスの約2倍)減らせるとしている。

 また、温室効果ガス削減に最も効果的な方法の1つとして期待されているのが、海藻の飼料としての利用だ。「カギケノリ」(Asparagopsis)と呼ばれる海藻を混ぜた飼料を牛に食べさせれば、2050年までに温室効果ガスを二酸化炭素換算で26億トン(インド1国の現在の排出量に匹敵)減らせる可能性があるという。

 オーストラリアでは、豪連邦科学産業機構(CSIRO)などがカギケノリを混ぜた飼料を開発し、既に商品化している。カギケノリ由来の飼料は、牛や羊のゲップや屁から放出されるメタンを最大80%減らせることが確かめられている。メタンは温室効果が二酸化炭素の約28倍ときわめて高い。家畜由来の温室効果ガスは豪州全体の排出量の約10%を占めることから、畜産業の削減が急務となっている。

 論文は「海藻の海洋養殖は、世界的なサステナビリティー(持続可能性)の問題を解決する上で重要な役割を果たし、莫大な恩恵をもたらす潜在的な可能性を秘めている」と指摘している。

■ソース
Food, feed and fuel: global seaweed industry could reduce land needed for farming by 110m hectares, study finds(The Guardian)
FutureFeed(カギケノリ由来の飼料を商品化)

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