「国民にとって難しい日になった」
オーストラリアのジム・チャーマーズ連邦財務相は6日午後の会見で、中央銀行の豪準備銀(RBA)が同日、過去14カ月で12回目の利上げを決めたことについて、多くの国民にとって「理解することは難しい」との見方を明らかにした。金利政策について独立性を担保している中銀の判断を尊重しつつ、利上げについてのさらなる説明も求めた。英紙「ガーディアン」のオーストラリア版(電子版)が速報で伝えている。
チャーマーズ財務相は「RBAの仕事は、経済を崩壊させずにインフレを退治することだ。今日の(利上げの)決定を説明し、弁護する機会はたくさんあるだろう」とコメント。同財務相は「私たち(政府)の経済計画では、インフレ圧力をかけずに生活コスト高騰による影響を和らげることに注力している」と語り、5月に発表した新年度予算案で低所得者層向けの支援策を打ち出したことを養護した。
政権が予算案に盛り込んだ電気料金の補助や各種手当の増額などの歳出策をめぐっては、野党や財界から「インフレに油を注ぎかねない」との批判も出ている。
積極的な賃上げ策も、賃金と物価の上昇が連鎖して止まらなくなる「賃金インフレ・スパイラル」を誘発しかねない。オーストラリア公正労働委員会は2日、7月1日以降の最低賃金を8.65%引き上げて時給23.23豪ドル(約2,100円)とすることを決めている。
この点について、同財務相は「今日の利上げは(歳出策を打ち出した)予算案によるものでも、最低賃金が高すぎるからでもない。利上げの理由は、インフレが多くの人が考えるよりもずっと頑固だからだ」と強調した。
その上で同財務相は「私たちは予算案でインフレ圧力を高めずに生活コスト高騰を緩和する政策を打ち出した。RBAの(ロウ)総裁は、予算案はインフレ圧力を高めるのではなく低めるものだということを明確に言っている。ただ、今日はオーストラリア国民にとって難しい日になった」と語った。