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オーストラリアで大麻はどれだけまん延しているの? 一度でも経験した大人の割合は3人に1人以上

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過去1年に一度以上使用した人は1割以上

大麻の使用はオーストラリア社会の幅広い層に浸透している(Photo: Dimitri Bong on Unsplash)

 オーストラリアの一部に大麻解禁の動きが出ている。背景には、大麻使用が既に中高年を中心とした幅広い年齢層に浸透してしまっていることがある。限定的に規制を緩和して行政の管理下に置いた方が現実的との判断もあるようだ。

 オーストラリアでは、1960年代から70年代にかけて盛り上がったベトナム反戦運動やヒッピームーブメントなどカウンターカルチャーの象徴として、当時の若い世代を中心に娯楽用の大麻の吸引が広まった。それから半世紀が経ち、こうした文化が下火となった現代でも「成人人口の3人に1人以上が一度は大麻を使用したことがある」とのデータがある。

 オーストラリア政府の健康・福祉研究所(AIHW)によると、2019年の薬物実態に関する調査で14歳以上の国民の36%が生涯に一度以上、大麻(医療用を除く)を使用したと答え、その割合は01年の調査時の33%から3ポイント上昇した。年齢別では40〜49歳が49.4%と最も高く、30〜39歳(47.2%)、20〜29歳(43.8%)、50〜59歳(43.1%)がこれに続いている。ただ、19年に過去1年間に一度以上大麻を使用した人の割合は11.6%と、01年の12.9%から小幅に低下している。

 近年、欧州の一部やカナダ、米国の一部の州、タイなどで娯楽用大麻の合法化の動きが広まっている一方、依然としてオーストラリアを含む多くの国・地域では違法薬物として警察の取締対象となっている。オランダ・アムステルダムのように完全に合法化され、カフェなどで自由に購入や吸引が可能なところから、多くの東南アジア諸国やイスラム教国のように厳罰に処す国まで、国・地域によって大麻規制の幅は広い。少量の所持なら、場合によって警告や交通違反程度の罰金で済むオーストラリアは、その中間に位置すると言えそうだ。

合法化賛成派の主張とは?

 3州の議会に合法化法案を上程したリーガライズ・カナビス党は、ヒッピーの聖地として有名な東部ニューサウスウェールズ(NSW)州北部の山村、ニンビンに拠点を置く。連邦議会で議席を有していないが、NSW州上院で1議席、南部ビクトリア(VIC)州上院で2議席、西オーストラリア(WA)州上院で2議席を保持していることから、これらの3州の議会で法案提出に踏み切った。

 同党は「大麻使用が精神疾患に著しく影響を与える明確な証拠はない」と主張している。合法化が実現すれば、過去13年間に全国で摘発された約70万件の大麻絡みの犯罪者を減らし、毎年80億豪ドルと推計される大麻密売による犯罪組織の収入源を断つことができるなどと指摘している。

■ソース
Alcohol, tobacco & other drugs in Australia(Australian Institute of Health and Welfare)
Why should we legalise cannabis?(Legalise Cannabis Party)





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