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熱戦!全豪オープン2021観戦ガイド

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熱戦!!2021年全豪オープン観戦ガイド

2021年グランド・スラム(GS)の第1戦、全豪オープンは、メルボルン市内、ヤラ川河畔のメルボルン・パークで2月8日(月)から2月21日(日)まで行われる予定である。
(文・写真=板屋雅博)

※この記事は開催日程など誌面発行時と内容が異なる部分があり、こちらの記事公開時の最新情報を掲載しています。

 新型コロナウイルスの影響が心配されたが、VIC州政府の最終判断を待ち、ヤラ川河畔のメルボルン・パークで2月8日(月)から2月21日(日)まで開催されることが決定した。

 2020年は世界のスポーツ界が完全に乱れ、テニス界、GS4大会も大きな影響を受けた。1月の全豪では、大会運営、観客や選手などに大きな影響はなく、無事に大会は終了した。しかしその後、世界的にコロナ過が拡大し、5月末に予定されていた全仏は全米後の9月末に延期され、6月末に予定されていたウィンブルドン全英は中止となった。開催が危惧された全米は8月31日から無観客で開催されたが、予選はなく出場選手も限定された。

 昨年の全米で優勝してGS3勝目を飾った大坂なおみが再度、女王となるのか?地元豪州期待のアシュリー・バーティが初優勝するか?昨年の全米覇者対地元のスーパー・スターの対決は、昨年の全豪と同じ構図となった。

 男子では全豪を制した絶好調のジョコビッチ、全米で悲願の初優勝を果たしたドミニク・ティーム、全仏で優勝したナダルの強豪対新鋭の戦いが見逃せない(世界ランクは2020年11月23日付け)。

大坂なおみ(23歳、3位)

大坂なおみ 全米に続き連続優勝か?
大坂なおみ 全米に続き連続優勝か?

 18年の全米で初優勝を遂げ、日本人として男女を通じて初のGSチャンピオンとなり、続く全豪でも優勝しGS2連勝を飾った。昨年の全豪では連覇を狙った大坂であったが、3回戦で16歳のコリ・ガウフ(米国、48位)にストレート負けした。リズムが狂うと立て直しができないメンタルの弱さを見せた。全豪優勝の後は、コーチが何人も変わるなどのメンタル面でも課題を負って、長いスランプに陥った。19年12月から現在のウィム・フィセッテにコーチが変わって、やっと安定してきた。フィセッテ・コーチは、アザレンカ、ハレプ、ケルバーなどのトップ選手のコーチを務めてきており、大坂や対戦相手を冷静にデータ分析する専門家で優勝請負人と呼ばれる。ケア担当の茂木奈津子トレーナーに加えて、新たにフィジカル担当の中村豊が専属トレーナーとしてチームに加わった。中村トレーナーは、シャラポワや錦織圭も指導しており、テニス選手の運動能力改善プログラムを熟知している。

 コロナ禍による約5カ月の中断期間にチーム大坂で心技体を基礎から鍛えなおした。

 大坂のフット・ワークが格段に良くなり、前後左右へのライン際のボールへの対応が的確にできるようになった。時速200キロを超える高速サーブとパワーの選手と思われているが、バランスが取れたオール・ラウンダーに変身してきた。精神面での変化も大坂を進歩させている。アメリカでの黒人襲撃事件への抗議に賛同し、全米の前哨戦であるウエスタン&サザン・オープンで抗議の為に準決勝に参加しないことを表明したが、WTAは準決勝を1日延期するなどの結果につながった。全米でも黒人犠牲者の名前を記したマスク7枚を着用し、全米のみならず世界中の注目を集めた。大坂は自分の行動が、世界へ大きなインパクトを与えることを自覚している。

 全米1回戦は、土居美咲(29歳、82位)に第2セットを取られたが、落ち着いて対処して逆転勝利。1回戦、3回戦、準決勝、決勝と4回もファイナルセットにもつれる接戦で、決して楽勝ではなかった。決勝の相手、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ、31歳)は、ノー・シードではあるが、12、13年の全豪女王で、豪州でもファンは多い。第1セットは、好調のアザレンカが1-6で一方的に勝ち取った。第2セットも最初のブレークはアザレンカが取り、2-0となって勝負あったかに見えた。しかし精神面、体力面で充実が著しい大坂は、ここで崩れずに持ち直した。第2セットを6-3で逆転すると、第3セットも6-3で優勝を決めた。全米決勝戦で第1セットを落としての逆転優勝は26年ぶりとなった。この1年で精神的にも大きく成長した大坂なおみの全豪は大いに期待ができる。

アシュリー・バーティ

世界ランク1位&第1シードのアシュリー・バーティ
世界ランク1位&第1シードのアシュリー・バーティ

 QLD州出身の25歳で世界ランク1位。19年の全仏オープンでGS初優勝を果たしたバーディは、同年末に自身初の世界ランク1位を達成。20年はアデレード・オープンで優勝し、全豪では準決勝まで進んだ。その後は、新型コロナウイルスの影響もあり、シーズンを休んでいる。結果として20年末も2年連続で世界1位として終え、全豪も第1シードとして迎えることになる。

 豪州女子選手としては、12年にサマンサ・ストーサーが全米オープンで優勝して以 来のGS優勝であり、2人目の世界ランク1位を記録。久しぶりにGS優勝と世界No1の選手が出て、オーストラリアが沸いている。大坂との対戦成績は、バーディからみて1勝2敗。

女子シングルス

 昨年の全豪では、21歳のソフィア・ケニン(米国)が初優勝を遂げた。全仏でも準優勝を遂げ世界4位まで順位を上げてきた。全仏の女王は、イガ・シフィオンテク(ポーランド、19歳、17位)。シフィオンテクは、19年から18歳でGSに参戦したが、初年に全仏で4回戦、昨年も全豪で4回戦、全米で3回戦と成績を挙げて、全仏で初優勝を遂げた。19年全米覇者ビアンカ・アンドレースク(カナダ、20歳、7位)も優勝の可能性がある。

 ベテラン勢では、シモナ・ハレプ(ルーマニア、29歳、2位)、エリーナ・スイトリナ(ウクライナ、26歳、5位)、カロリーナ・プリスコバ(チェコ、28歳、6位)などが優勝を狙う。

錦織圭

最後のチャンスにかける錦織圭
最後のチャンスにかける錦織圭

 日本期待の錦織圭(31歳)だが、痛めた右ひじの状態がかなり回復していたものの準備不足として、昨年の全豪参加を見送った。

 8月にはコロナ陽性となり全米を欠場している。全仏では2回戦で敗退。昨年全豪時点では13位であったが、昨年は全仏1回戦で勝利した程度でほとんどランキング・ポイントを稼ぐことができず、40位にまで順位を落としている。

 まずはトップ20位以内に戻すことから始まる。コーチはダンテ・ボッティーニが去り、マックス・ミルニーがチームに加わり、マイケル・チャンと共にコーチングに当たっている。

男子シングルス

全豪連覇か? 絶好調のノバク・ジョコビッチ
全豪連覇か? 絶好調のノバク・ジョコビッチ

 昨年は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア、33歳、3位)が全豪、ラファエル・ナダル(スペイン、34歳、2位)が全仏を優勝した。

 GS優勝回数では、ナダルが20回に達して、ロジャー・フェデラー(スイス、39歳、5位)と並んで歴代1位となった。ジョコビッチも1つ増やして17回、歴代3位となった。全米ではドミニク・ティエム(オーストリア、27歳、3位)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ、23歳、7位)の決勝となった。第1、第2セットをズベレフが先取したが、ティエムが逆転で3セットを連取して初優勝を遂げた。3強以外のGS優勝は、2016年全米のスタン・ワウリンカ以来、4年ぶりのことである。

 フェデラーは右膝の手術からの回復中で、今回の全豪オープン後に復帰と発表されている。

GS20回優勝のラファエル・ナダル
GS20回優勝のラファエル・ナダル

 トップテンでは、ダニール・メドべージェフ(ロシア、24歳、4位)、ステファノス・チチパス(ギリシャ、22歳、6位)が注目である。

 ジョコビッチは今年に入り、ATPカップでは全勝してチームを優勝に導き、全豪、ドバイ大会、シンシナティ大会で優勝して全米まで無敗できており、全米の失格で初の黒星となり、続く全仏では、決勝でナダルに負けたのが、唯一の敗戦となった。その後のBNLイタリア国際優勝と華々しい活躍を見せた。

日本人男子選手

 西岡良仁(25歳、56位)は、昨年1月から豪州で開催された国別対抗戦ATPカップに日本のエースとして出場し、グループリーグではウルグアイ戦、ジョージア戦で勝って、日本の勝利に貢献した。昨年の全豪では、1回戦でマッケンジー・マクドナルド(米、25歳)をフルセットの末に撃破し、2回戦ではダニエル・エバンス(英国、32位、30歳)をストレートで下した。自身初のグランドスラム3回戦進出を果たし、錦織以外では、松岡修造以来25年振りとなる全豪での快挙であったが、3回戦では第2シードのジョコビッチにストレートで敗れた。2月のデルレイビーチ・オープン(ATP250)では決勝までの5回戦を勝ち上がった。惜しくも準優勝に終わったが、世界48位に入り、トップ50入りを果たした。

日本人女子選手

 日比野菜緒(26歳、72位)は、3年ぶりにトップ100入りで本 戦出場となる。昨年のストラスブール国際では、1回戦では17年全米覇者のスローン・スティーブンス(米、27歳、39位)に勝利、3回戦では全仏女王のエレナ・オスタペンコ(ラトビア、23歳、44位)を撃破して準決勝まで進んだ。全仏オープンでは1回戦を勝利した。この活躍で大きく順位を上げてきた。土井美咲(29歳、82位)も本戦出場予定。20年全米1回戦では大坂なおみと対戦して、激戦を演じたのが記憶に新しい。全豪、全米、全仏と3GSに出場したが、全て1回戦で敗退した。

オージー選手

 シドニー出身のアレックス・デミノー(19歳、23位)は、ATPカップで第一代表を務めたが、負傷して全豪を棄権したが、全米で自身初のベスト8まで駒を進めた。

 ニック・キリオス(25歳、45位)は、全豪では4回戦で敗退するなどGSで活躍できずに45位までランクを下げた。

 ジョン・ミルマン(31歳、38位)は、カザフスタンで行われたアスタナ・オープンで優勝し、自身初のATPタイトルを獲得し、38位へ躍進した。

 デミノー、キリオス、ミルマンの3名で豪州代表チームとして、ATPカップに参戦して、準決勝まで駒を進めた。

 女子では、世界1位のアシュリー・バーティ以外は、100位以内の選手は出ていない。

車いす部門

 国枝慎吾(36歳、1位)は、全豪と全米で優勝して復活を印象付けた。

 上地結衣(26歳、2位)は全豪、全仏で優勝した。

 大谷桃子(25歳、7位)が昨年全米でGS初出場したが、1回戦で上地に敗退。しかし続く全仏では、準決勝で世界ランク1位のディーデ・デフロート(オランダ、23歳)をストレートで破る大金星を挙げた。決勝では上地と日本人対決となったが、上地が勝利した。

全豪オープンの楽しみ方

■ 日程

 試合経過、会場、練習場所などがリアル・タイムに分かる全豪オープン公式アプリを参考にしよう。

■ 会場

メルボルン・パークには、ロッド・レーバー・アリーナ(1万5000人)とマーガレット・コートアリーナ(7500人)のふたつのセンターコートと一般コートのハイセンス・アリーナ(1万500人)の開閉式屋根付きコートがある。

 会場にはビデオ・カメラ、大型望遠レンズ、大きな旗、ガラス瓶などは持ち込めない。

■ 催事場

 例年であれば、ハイセンス・アリーナ側のグランドスラム・オーバル催事場には娯楽テントや、ライブ・バンド演奏のビアホール、飲食店など催し物や屋台が出店する。

 ガーデン・スクエアでは選手によるサイン会は無理と見られる。

■アクセス

 会場のメルボルン・パークまでは、トラム、電車、バスなどの交通がありトラムは無料。フリンダース駅から歩いて10分ほどでヤラ川の散策を兼ねて歩くのも快適である。

■チケット

 一般券は、2つのセンター・コート以外は全て入れる。午後5時以降に入れるチケットや、週末2日間券、5日券、家族4人券など多種の入場券がある。

 一般券は会場でも買えるが、初日と2日目は長蛇の列となるので、ネットで事前購入か、フェデレーション・スクエアで事前購入するのがお薦め。

■Australian Open

会場:Melbourne&Olympic Parks, Batman Ave., Melbourne
日程:2月8日(月)から2月21日(日)
Web: australianopen.com


文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz)を経営

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