第14回 KVB資産運用
チャートを見てみよう(その2)
前回に引き続き、チャートの話をします。私たちがチャートを見るのは、過去の値動きが将来の値動きに何らかの示唆を与えていると考えるためです。金融商品の値動きはランダムであり、過去の値動きとは関わりがないとする考え方がある一方、多くの投資家はそうは考えず、過去の動きから将来を予想するヒントを得ようとチャートを見て取り引きします。彼らがよりどころとする考え方が正しいかどうかに関わらず、チャートを見て取り引きをする人が多いのであれば、彼らの取り引きパターンをつかむ上でチャートから得られる情報は無視できません。
下の図を見てください。ある通貨が上昇している様子を単純化したチャートです。ポイントとなる箇所は色分けされた水平の線に接しているところです。価格が下落した後に反発している所はサポート(赤色の線)といい、逆に上昇した後に反落している所はレジスタンス(緑色の線)といいます。サポートはこれ以上下落しないように支え、レジスタンスは更なる上昇を抑えつけているというイメージです。
さて、最初のレジスタンスと2番目のサポートが同じ水準であることに注目してください。これはチャートによく見られるパターンなのですが、何が起きているのか見てみましょう。最初のレジスタンス付近で売りから入った人は、一旦下落した後に上昇に転じたことで損失が発生します。最初のサポート付近で買いから入った人は調子良く上昇したためもっと大きなポジションを取っておけば良かったと考えます。
売り持ちの人は、自分がポジションを入れた所まで下落したことで安心して買いを入れてポジションを解消します。一方、買い持ちの人は安くなったことで更に買いを入れます。今まで静観していた人の中にも、この動きを見て買いを入れる人も現れます。こうして買いが増えることで過去のレジスタンスがサポートに転じたのです。今後数回に渡りさまざまなチャートのパターンを紹介したいと思います。
このコラムの著者
KVB Global Markets:山田 悟
KVB Global Markets日本部門ヘッド/チーフ・カスタマー・ディーラー アジアを中心に金融サービスを展開するKVB Global Marketsで15年にわたり為替カスタマー・ディーラーとして日本人顧客を中心に外国送金や国際決済、外貨調達の支援を行っている