本好きにとって、トレンドに取り残されてしまうのはつらいところ。本連載では、シドニーCBDに店を構え、KINOと親しまれるオーストラリア紀伊国屋書店協力の下、トレンド・キーワードと共に読み逃せない話題の3冊と、日本のトレンドをキャッチするための最新ランキングをご紹介していきます。
もうすぐ冬も終わり。「春が待ち遠しい!」と首を長くしている人も多いのではないでしょうか?そんな人に今月お薦めしたいのが「切り絵」の本。見ているだけで鳥肌が立つような細やかで繊細なライン。デザインもさることながら1つひとつの発想のすばらしさ。まさに芸術です! カッター1本とカッター・マットを用意して、図案通りに切れば、誰でも素敵な切り絵が楽しめるのがこれらの本。自分の気に入った作品を見つけてぜひ挑戦してみてください。
今、売れている本は? ベストセラー・ランキング(2021年6月2日~8日)
■文庫ベストセラー
1 | 昨日がなければ明日もない | 宮部みゆき | 文藝春秋 |
2 | かがみの孤城上 | 辻村深月 | ポプラ社 |
3 | 合唱岬洋介の帰還 | 中山七里 | 宝島社 |
4 | ひげを剃る。そして女子高生を拾う | しめさば | KADOKAWA |
5 | いのちの停車場 | 南杏子 | 幻冬舎 |
■新書ベストセラー
1 | どうしても頑張れない人たち | 宮口幸治 | 新潮社 |
2 | スマホ脳 | アンダ-ス・ハンセン/久山葉子 | 新潮社 |
3 | 老いる意味 うつ、勇気、夢 | 森村誠一 | 中央公論新社 |
4 | 生物はなぜ死ぬのか | 小林武彦 | 講談社 |
5 | 論語と算盤現代語訳 | 渋沢栄一/守屋淳 | 筑摩 |
今週のトレンド・キーワード「切り絵の世界」
葉っぱ切り絵コレクション
『いつでも君のそばにいる』
リト@葉っぱ切り絵
講談社(価格:A$29.31<会員価格:A$26.38>)
空に透かされる葉っぱ切り絵。その精巧さに驚かされるだけでなく、見る人の心が揺さぶられるような感覚。それがリト氏の葉っぱ切り絵。落ち込んでいる時やさみしい時、1枚1枚が絵本作品のような葉っぱ切り絵作品集は、そこに自分だけの物語を見つけられるはず。見て読んで幸せになれる1冊。
そのまま切って飾れる
『きれいな5色の切り絵帖』
佐川綾野
ホビ-ジャパン(価格:A$42.20<会員価格:A$37.98>)
春夏秋冬の植物や動物などかわいい図案が253点。切り絵といえば黒い紙が主流だが、本書では、味わいのある5つの色で切り絵を楽しむことを提案。コピーして使える型紙も用意されているので、切り終わってしまっても、色紙を用意すれば何度でも楽しむことができるのが特徴。
手すき和紙で作る式の生き物たち
『季節の草花と動物の切り絵』
松原真紀
文化出版局(価格:A$30.85<会員価格:A$27.76>)
伝統工芸品である和紙の里、福岡県八女市にアトリエを持つ著者。和紙を使い、季節を感じる動物や草花のモチーフを美しく切り出せる。ページをめくる度、絵本のような感覚でわくわくさせてくれる1冊。そのまま切って作品になる図案も掲載。繊細な切り絵の世界で、暮らしに彩りを添えてみては。
ランキングからPick up!
『どうしても頑張れない人たち』
宮口幸治/新潮社
よく聞く「頑張る人を応援します」というメッセージ。しかし「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。ベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」の著者が説く、頑張れないがゆえに切実に支援を必要としている彼らを、適切な支援につなげる知識とメソッド。
KINOKUNIYA便り
そろそろ冬も終わりが見えてきたころですね。日も少しずつ長くなり、本格的な春の到来が待ち遠しいところです。とは言え、まだまだ寒い日には家で熱中できる趣味がぴったり。今回紹介した切り絵は制作する過程が楽しめるだけでなく、完成したものをインテリアとして飾ることもでき、2度楽しめます。外で思い切りエンジョイできる季節を待ちつつ、今だけのお家時間もしっかり楽しみましょう!