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— 第2弾 —
日豪をつなぐ!
起業家インタビュー
2021
先月から2号にわたり掲載している本特集では、日豪をつなぐビジネス・プランやアイデアで独立や起業を目指す人にとって必読の内容をお届け!オーストラリアで起業し、各界で活躍する2人の日本人経営者に、来豪してビジネスを始めたきっかけや事業内容、印象的だった出来事など、多角的な視点から起業スピリットやポテンシャルなどを伺った。
- ① ウェストサイド画像診断センター・ペインクリニック
西口智一氏 - ② Sakura Flowers
花形美菜子氏
Sakura Flowers
花形美菜子氏
メルボルン南東部コンフィールド・ノースに位置する「Sakura Flowers」。同店のオーナー兼フローリストとして活動する花形美菜子氏に、オーストラリアでフラワー・ショップをオープンした経緯や提供するサービスの内容、ローカルの店舗で日本人として花に携わる業務を行う上で心掛けていること、仕事の面白さ、印象的だった出来事などについて話を伺った。
PROFILE
ハナガタ・ミナコ
神奈川県横浜出身。2007年よりメルボルンでフリーランス・フローリストとして活動をスタート。13年にSakura Flowersをオープン。日本国家資格フラワー装飾技能士の資格を持ち、植物の販売をはじめ、ウエディング・フラワー、コーポレート・フラワーのアレンジなどを手がける。フラワー・アレンジメントのレッスンや、プリザーブド・フラワー・フレーム制作など花全般の仕事を承っている。
──メルボルンでフラワー・ショップを開業された経緯についてお聞かせください。
1997年にワーキング・ホリデーで1年ほどメルボルンに滞在していました。歴史を感じさせる街並みと四季のある土地柄が好きで、ご縁があって2006年にまたメルボルンに戻ることになり、07年よりフリーランスのフローリストとして活動し始めました。13年に「Sakura Flowers」をオープンして今年で9年目になります。
20代の頃から、「いつか自分で何かをやりたい」と思っていました。その背景に、花が好きな母が言っていた、「何か手に職を付けておくとすてきよ」という言葉が物心がついた時から胸にあったように感じます。外国で暮らす上で、仕事としてできることより、できないことの方が明らかに多い中、”自分にできること”は何かについて考えました。
これまでの経験を生かせて、これから費やす時間と共に自身が楽しみながら成長が見込めることに加え、多くの人に喜んで頂ける可能性があること。それらのポイントに日本人の要素が取り込めたら、周りとは少し違う花を表現できて面白いかなと思ったのが、花に携わるビジネスを始めたきっかけです。
現在、花の小売りからオンライン・デリバリー、ウエディング・フラワーやコーポレート・フラワーのアレンジ、レッスンなどを行っています。また、ウエディング・ブーケやお葬儀の花を末長く形に残すプリザーブド・フラワー・フレームの制作なども手掛けています。
──ご自身でフラワー・ショップを経営する上で心掛けている点について教えてください。
ローカルのお客様の好きなスタイルを取り入れながら、和風の雰囲気もオプションで組み込んでいます。例えば、ウエディングで和と洋の雰囲気を混ぜる要望があった際、桜を会場中心に大きく生けながら、卓上には酒枡にネイティブ・フラワーと桜を合わせて生ける提案をしたり、花のラッピングに折り紙や風呂敷を使用することもあります。全てのお客様が和風を好まれるわけではないので、それぞれのニーズに合わせながら、自分がもらったらうれしいというフィーリングを大切に、遊び心を取り入れたデザインを提供してます。
また、日本人として誇るべきホスピタリティーとして接客レベルも意識しています。細かな点に目を配り、お客様にいつでもご満足頂けるよう、迅速かつ的確なサービスを提供することを心掛けています。「確かオーナーは日本人だったよね」ということが、花を必要とするさまざまな人たちにサービスと共に届くことで、日本人の良いイメージも伝えていければと思っています。
日本を離れたことで、私自身も改めて日本という国の美しさ、マナーや文化の尊さを感じています。ローカルの店で働くことと、自分でビジネスをやることの違いは、より個人としてフォーカスされ、自分の行動に興味を持って頂ける機会が増えることではないでしょうか。責任は伴いますが、自身の培ってきた時間を評価して頂く場は活力となります。「郷に入れば郷に従え」は、海外で暮らす上で大切なことですが、日本の良きイメージも花のサービスと共に届け、たくさんの方々に喜んで頂ける働き方をしていきたいと思っています。
──メルボルンを拠点に花に携わる業務を行っていく中で、印象的だった出来事などはありますか?
店をオープンしてから毎年、全豪オープン・テニスのNHKテレビ・スタジオに花を飾らせて頂いています。オーストラリアの大イベントである全豪テニスを観戦する楽しみに、花を見る楽しみが加わったと言ってくれる日本の家族や友人と、テレビ越しに日豪のつながりが持てる機会を与えて頂き、大変ありがたく思っています。大坂なおみ選手の優勝インタビューの際、自分がアレンジした花が画面上で大坂選手と共に映った時は、感慨深いものがありました。
イベントなどの現場では、さまざまな業界で活躍し、頑張っている人たちの働き方を目にすることができますし、メルボルンで花に携わる仕事をしていることで、そういった方々の姿を間近で見ることができるのは貴重な経験です。
また、店を持ったことで実現したとても大きな出来事の1つが、華道家・假屋崎省吾先生の来豪期間中、在メルボルン日本国総領事公邸で開催された平成最後の天皇陛下の誕生日祝賀会での装飾のお手伝いをさせて頂いたことです。プラーン・マーケットで行われたフラワー・パフォーマンスとトーク・ショーのアシスタントも務めさせて頂きました。
私は、仕事での面白味というのは、自身のスキル・アップに向け没頭する時間が糧となり、誰かに喜びを提供できること、そしてすばらしい人びととの出会いにより、自身が感化されていくことだと思っています。華道歴35年以上の假屋崎先生のお手伝いをメルボルンでさせて頂き、花に携わるスキルはもちろん、周りの方々への配慮など、温かな人柄も大変深い学びとなりました。店を通じて経験させて頂けているすてきなご縁を心より感謝しています。
Contact Information
Sakura Flowers
■住所: 211 Balaclava Rd., Caufield North 3161 VIC
■Tel: (03)9527-4440
■Web: www.sakuraflowersmelbourne.com.au
■Instagram: sakura_flowers_melbourne