本好きにとって、トレンドに取り残されてしまうのはつらいところ。本連載では、シドニーCBDに店を構え、KINOと親しまれるオーストラリア紀伊国屋書店協力の下、トレンド・キーワードと共に読み逃せない話題の3冊と、日本のトレンドをキャッチするための最新ランキングをご紹介していきます。
あっという間に10月。時が経つのは早いですね。そろそろ2021年も終わりが見えてきましたが、うまくいったこと、いかなかったことなどたくさんあると思います。残り期間も少しでも楽しく過ごしていきたいものです。今月は「料理」をテーマに選んでみました。おうちで過ごす時間に、普段作らない料理を選らびじっくり時間を掛けて作ってみるのはいかがでしょうか。おいしい料理を食べる喜びはもちろん、気分転換にもなって一石二鳥になるはずです。
今、売れている本は? ベストセラー・ランキング(2021年8月7日~13日)
■文庫ベストセラー
1 | ぼくはイエロ-でホワイトで、ちょっとブル- | ブレイディみかこ | 新潮社 |
2 | わたしの幸せな結婚(五) | 顎木あくみ | KADOKAWA |
3 | 一夜の夢 | 佐伯泰英 | 文藝春秋 |
4 | てんげんつう | 畠中恵 | 新潮社 |
5 | 竜とそばかすの姫 | 細田守 | KADOKAWA |
■新書ベストセラー
1 | スマホ脳 | アンデシュ・ハンセン/久山葉子 | 新潮社 |
2 | 老いる意味 | 森村誠一 | 中央公論新社 |
3 | 真説日本左翼史 | 池上彰/佐藤優 | 講談社 |
4 | 決断力 | 橋下徹 | PHP研究所 |
5 | どうしても頑張れない人たち | 宮口幸治 | 新潮社 |
今週のトレンド・キーワード「料理」
本当の豊かさとは? 有元センスの決定版!
『この2皿さえあれば。私が食べたい季節の味』
有元葉子
集英社(価格:A$44.40<会員価格:A$39.96>)
著者が日々、本当に食べたい味を相性の良い2皿ごとに紹介。おいしいのはもちろんのこと、色、食感や香り……。五感が喜ぶ2皿は「作ってみたい! 食べてみたい」と思わせるものばかり。全て著者の私物の器やグラスを使ってスタイリング。レシピ集としてはもちろん、眺めているだけで幸せになれる1冊。
しっとり、カリッと、サクッと。
『ア-モンドだから、おいしい』
下園昌江
文化出版局(価格:A$40.10<会員価格:A$36.09>)
焼き菓子の基本的な材料、バター、砂糖、卵、小麦粉にアーモンドをプラスすると、香ばしくカリッとした食感と驚くほどの味わいに。また、粉状のアーモンドを生地に練りこめば、小麦粉だけでは得られない風味の豊かさやコクが出る。アーモンドを使いこなせばお菓子作りの楽しみがぐんと広がる。
強力粉100g、ベンチ・タイムなし
『90分でできる丸いパン』
上島亜紀
成美堂出版(価格:A$29.20<会員価格:A$26.28>)
「もっと気軽にパン作りを楽しんでもらうには」の答えを求め、試行錯誤の末に辿り着いた1冊。身近な材料と道具、疲れない手ごね方法、シンプルな工程など、ストレスのないパン作りを実現している。基本の生地を覚えれば、アレンジの幅は無限大。ハードルを極限まで下げた簡単パンのレシピ集。
ランキングからPick up!
『ぼくはイエロ-でホワイトで、ちょっとブル-』
ブレイディみかこ/新潮社
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカから来たばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。優等生のぼくとパンクな母ちゃんの感動のリアル・ストーリー。
KINOKUNIYA便り
思い掛けずロックダウンが長く続くことになり、COVID‑19の収束がなかなか見えてこずストレスがたまっている人も多いかと思います。せっかく増えたおうち時間なので、普段なかなかトライしない料理に挑戦するのもお薦めです。日本の料理本で作ってみると、懐かしい日本の味を感じることができるのでは。いろいろと興味の幅を広げて、この難しい状況を乗り切っていきたいものです。