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海外出張中に会社の所有物を紛失。地元警察のレポートなしでも求償可能?

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日豪プレス何でも相談

保険

Q

先日、海外出張中に携行していた会社支給の工具類を紛失しました。状況的に置き引きにあったと考えられますが、その時は時間がなかったこともあり、そのままシドニーに戻ってきてしまいした。帰国後、損害を会社で加入していた旅行保険で求償(きゅうしょう)しようとしたのですが、盗難に対して地元警察からレポートを入手・提出しないと保険金の支払いは難しいと言われ、今更出張先へ戻って書類だけを入手するのも困難な状況で困っています。今後のために、こうした保険金求償において大事なポイントを教えてください。(38歳男性=エンジニア)

A

一般的な情報とひと言で言ってもその状況や被害の性格、適用される保険種目によってさまざまなケースが考えられます。従って、一概には言い切りづらいのですが、いずれにしても損害保険の基本は現状回復、つまり罹災(りさい)する前の状態に戻すために保険適用を受けるという点にあります。そのため、罹災前の状況はどうだったのか、そこに戻すには何が必要なのか、というポイントを主に証明するための書類が必要となると言えます。

ケースごとに以下で少し細かく見ていきます。

まず、質問の旅行保険における盗難被害であれば、ご指摘の通り警察からの盗難証明と盗難に遭った物を確かに所持していたという証明が求められます。よって、今回のケースで保険対応を確実にするためには、時間がない中でも面倒がらずにきちんと警察の介入を求めて、記録(レコード)を残しておくことが重要だと言えます。

その他の旅行保険請求においては、例えば飛行機の遅延やキャンセルであれば、航空会社などからのその旨の証明書類が求められ、旅行中の医療行為に対する治療費であれば、治療内容が妥当かつ必要性のあるものだということを医師からの書類で証明することが求められます。

旅行保険とは別に、火災や風水災、盗難などを補償する物損保険であっても罹災した物を確かに所有していた、及び保険金として支払い請求している損害額が妥当かどうかの証明が求められます。火災や盗難によって罹災物を見せることができない状況であれば、逸失前の状況が分かるように、例えば購入時のレシートや、該当物のパッケージや付属品などを証明として使うのが一般的ですが、該当物が写っている写真などを証明として使うこともできます。その上で、該当物を修理するまたは再購入する際の費用が妥当かどうか、見積もりを取得して保険会社の査定を受けることになります。

また、損害が突発的な保険事故に起因していると証明することも求められます。なお、骨董品や美術品など、その物の資産価値が一般的に分かりづらい物については、事前に鑑定書などを取得しておくと、保険金求償の際にもめることがなく対応できます。

賠償責任保険関連であれば、自身の行為によって第三者に損害を与えたという明確な証明と、その損害に対して法的に損害賠償の責任があること、そして相手からの賠償請求額が妥当かどうかという点をクリアにすることが求められます。

いずれのケースにおいてもポイントは、第三者によって客観的に因果関係と妥当性を証明するということになるので、その前提で適切な対応をすることが、後々の余分な手間や時間を省くことにつながるでしょう。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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