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ディスラプションからの価値創造について

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税務&会計 REVIEW

EYパートナー/ジャパン・ビジネス・サービス
オセアニア/アジア太平洋地域統括
菊井隆正

プロフィル◎アジア・パシフィック及びオセアニア地域日系企業担当部門代表。常に監査、会計、税務から投資まで広範囲にわたる最新情報を提供することで、オセアニアで活躍する日系企業に貢献できるよう努めている。

ディスラプションからの価値創造について

今月号では、EYのグローバル・シンクタンクであるEYQが発行したメガトレンド・レポート「『来たる未来』の先に何があるのか:ディスラプションからの価値創造(The upside of disruption)」をご紹介します。前回2016年に発行したメガトレンド・レポートでは、ディスラプション(破壊的イノベーション)がビジネスにおける最も大きな課題だとした企業経営者は少数でした。今日では、オセアニアを含む企業経営者はほぼ例外なくディスラプションを「チャンスであると同時に存続の危機をもたらすもの」と捉えています。

今回のメガトレンド・レポートでは、ディスラプションはどこから生じるのか、そしてディスラプションはどこに向かおうとしているのかについて解き明かし、この双対を解明する手助けをしています。また同レポートは、プライマリー・フォース(ディスラプションをもたらす力)、メガトレンド、未来の働き方、変化の兆候に焦点を当て、ディスラプションを分析しています。プライマリー・フォースにメガトレンドの波が交わることで、新たなメガトレンドや未来の働き方を取り巻く環境が創出されます。この相互作用を理解することが、ディスラプションに対応するための鍵となります。

私たちは現在興味深い時代を生きています。スマートフォンやセンサーという奇跡のような機器に囲まれた日々を過ごし、Eコマースの興隆は小売業者を市場から一掃してしまいました。毎日のように自動運転の話題が取り上げられ、数年前まで自動運転車を所有することすら想像できなかったにもかかわらず、いまやそれは斬新な技術ではなくなってきました。私たちは、絶え間なく続く変化に慣らされてしまっているのです。

次に、遠い将来のことではありますが全く前例のない革命的なことについて考えてみてください。私たちは今、人間拡張(*)の時代に突入しつつあります。テクノロジーはこれまでも人間の能力を強化してきましたが、テクノロジーそのものを強化しているのがAI、ロボティクス、自動運転車、ブロック・チェーンです。これらは今後も間違いなく進化し続けるでしょう。人類史上初めて、テクノロジーが自律して活動し、日常業務から販売活動、規制に至るまで広範囲にわたって私たちになり代わり、影響をもたらすことになるでしょう。

(*)人間拡張:人工知能、ロボティクス、拡張現実、仮想現実やブロック・チェーンなど人間の能力を伸ばすこと。

ディスラプションのトレンドを知り、深く理解する

現在では、経営幹部や取締役会メンバーは、ディスラプションが破壊的なイノベーションによって差別化を図る機会であるだけでなく、死活的な脅威であると認識するようになりました。企業がデジタル戦略や新たなビジネス・モデルなどにより、ディスラプションという新たな時代に適応しなければならないため、ビジネス・トランスフォーメーションは新たな企業スローガンとなっています。

ディスラプションに対応するために幅広い視野が求められる一方で、より焦点を絞った視野も要求されます。ディスラプションという破壊的な動向が潜在し拡大し続ける世界だからこそ、最重要課題を最優先に扱い、重点的に対応することが求められます。

ディスラプションのフレーム・ワークが解決への鍵

ディスラプションを味方に付けるには、原因と結果を見分け、無限に続くように見える破壊的な力の優先順位を決めて、混乱から秩序をもたらすフレーム・ワークが必要です。同レポートではEYのフレーム・ワークの変化のうち、プライマリー・フォース、メガトレンド、未来の働き方について詳しく説明しています。

これらの要素は、同時に生じるわけではなく、またいつ生じるか、どの程度の影響があるかも異なります。経営の意思決定に当たっては、それぞれ異なる対応が求められます。その要素について簡単に説明します。

プライマリー・フォース
 プライマリー・フォースとは、ディスラプションをもたらす根本的な原因や力のことです。同レポートでは最近のプライマリー・フォースにおける3つの波として、人間拡張(テクノロジー)、ポピュリズム(グローバル化)、そして高齢化(人口構成の変化)を取り上げています。この3つの波は、同レポートの基本的なテーマです。

メガトレンド
 プライマリー・フォースによる新たな波は、相互に影響し合いながら新たなメガトレンドをもたらします。例えばヘルス・ケアでは、新興市場の成長(グローバル化)によるデジタル・ヘルス(テクノロジー)の進展、高齢化(人口構成の変化)、そして体をあまり動かさなくて良い生活によって、ヘルス・ケア・ビジネスのあり方を見直すメガトレンドが進行しています。

未来の働き方
 メガトレンドはどこに向かっているのでしょうか? 私たちは、メガトレンドによる影響は、より広範な政治的・経済的背景の再編にもつながると主張し、これを3つの「未来の働き方」から分析しています。同レポートでは、例えば中国の台頭などによるグローバル・システムのリバランスなどさまざまなシステムを整備するための新たなルールなどについて取り上げています。

今回の分析の大部分は、人間拡張、ポピュリズム、高齢化などのプライマリー・フォースがもたらす波によって解き放たれるディスラプションに焦点を当てています。なぜなら、政財界のリーダーが最も注視すべきなのは、このディスラプションだからです。

一方で、遠い未来に影響が及ぶと予想される新たなプライマリー・フォースによる波を「変化の兆候」という4つ目の変化の要素と位置付けています。この変化の兆候が生じる可能性、その規模、それらが及ぼす影響にはかなりの不確実性が伴います。

ディスラプションによる価値創造

ディスラプションは潜在的な脅威であると同時にチャンスでもあります。事実、今日では多くの企業がディスラプションによる価値創造を見い出そうとしています。それはビジネス変革のためには極めて重要なことです。

では、何にとってのプラスなのでしょうか? 不確実な未来に向けて計画を立てることは、正しい意思決定基準を設定することです。これによりマイナス面をプラス面に転換できます。

例えば、都市化のリマッピング(再編成)上の考えに基づいて貴社の工場やオフィスを再配置すれば、コストが増大し利幅は縮小します。しかし、現状ではなく、新しい世界で用いる基準に照らせば、この戦略は大きなアドバンテージとなり得ます。気候やテクノロジーによって都市が再形成されることに伴い、企業の拠点の立地を見直せば、経費を大幅に節減できるでしょう。EYのフレーム・ワークは、そのような比較を行うためのツールであり出現するさまざまな要因を分類し、最も注視すべきものの優先順位を付ける際に役立つものです。

ディスラプションによる価値の創造
何がディスラプションをもたらしているのか、ディスラプションの向かう先はどこか、貴社にとってのディスラプションは何か

最後に

企業は、ディスラプションから価値を創造するために備えておかなければなりません。何がディスラプションをもたらしているか、ディスラプションはどこに向かうのか、ディスラプションとは何かについて知る必要があります。メガトレンド・レポートとフレーム・ワークによって、正しい意思決定基準を手に入れることができ、ディスラプションがもたらす脅威をチャンスへと変えることができるでしょう。

EYメガトレンド・レポート2018年版の日本語フル・レポートはウェブサイト(www.eyjapan.jp/library/report/pdf/megatrend_2018.pdf)からご覧頂けます。

※この記事は出版時の時点で適用される一般的な情報を掲載しており、アドバイスを目的としたものではありません。


EYジャパン・ビジネス・サービスのウェブサイトはこちらから
www.ey.com/AU/en/JapanBusinessServices

コンタクト

菊井隆正(ナショナル)
(02)9248-5986
Email: takamasa.kikui@au.ey.com

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