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メリッサ・プライス環境大臣

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政界こぼれ話人物編 その221

メリッサ・プライス環境大臣
Melissa Price

WA州選出の自由党連邦下院議員で、閣内の環境大臣でもあるメリッサ・プライス(Melissa Price)は、1963年12月12日に金鉱山で有名なWA州のカルグリーで誕生している(55歳)。祖父も叔父もWA州上院の政治家であったが、所属政党は自由党ではなく労働党であった。父親も政治家志望であったが、こちらの方は失敗に終わっている。いずれにせよ、プライスは政治好きの家系に生まれているが、ただプライスが「世襲議員」として、スムーズに政治家になったわけではない。

まず、プライスは中学校を終えただけで、いったん学校教育から離れている。その後教育の重要さを痛感し、苦学して英国の大学の法学部を優等で卒業。豪州で弁護士の資格を取得したのは、31歳の時であった。政界入りする前は、大手法律事務所の事務弁護士として活躍したり、穀物ビジネスや資源ビジネスに関わった。ちなみに、幹部として活躍した鉄鉱石企業は三菱系であった。

長年にわたりビジネス界でさまざまな経験を積んだものの、やはり「政治家の血統」の成せる業か、プライスは2013年にWA州下院選挙に出馬している。その時は落選の憂き目を見たものの、今度はアボット保守連合政権が誕生した同年9月の連邦下院選挙に、WA州のデゥラック選挙区から出馬して見事初当選している。また、前回16年7月の下院選挙でも再選を果たした。

15年9月にはターンブル保守政権がスタートしたが、17年12月に実施されたターンブル政権の中規模改造で、環境補佐大臣(注:かつての政務次官)としてフロント・ベンチャー入りした。そして18年8月にモリソン保守政権が誕生すると、一定数の閣内女性閣僚が必要という事情にも助けられ、一挙に閣内の環境大臣に大抜擢され、現在に至っている。

思想、信条的には自由党の右派、保守派に分類できる。プライスは必ずしも「熱心な環境保護派」というわけではなく、その意味でかつての自由党のハント環境相よりも(注:現保健相)、前任であるフライデンバーク環境・エネルギー相に近い(注:現財務相)。

人柄だが、常に笑みを絶やさない明るい性格だが、あまりに率直過ぎて、しばしば舌禍(ぜっか)事件を起こす。例えば環境相になってからも、たまたま出会った南太平洋島嶼(とうしょ)国のキリバツのリーダーに、「また金の無心に来たんでしょう」云々と、極めて礼儀を欠く不適切な冗談を言って物議を醸している。

ただ上述したように、プライスは長年にわたりさまざまな業界のビジネスに携わってきたばかりか、地方の情勢にも通暁(つうぎょう)しており、更に一時期未亡人、シングル・マザーとなって苦労するなど、豊富な人生経験を持つ。「女性差別」と批判に晒されている自由党にとっては、重要な女性政治家と言えよう。ブラッドというパートナーがいる。

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