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経費処理で昨年度分の物流保険に対する保険料追徴が発生。その仕組みとは?

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保険

Q

先日、社内での経費処理で昨年度分の物流保険に対する保険料追徴を受けました。既に12カ月前に保険料は支払い済みで、経費予算的にちょっと困ってしまった経緯がありますが、どういったことなのでしょうか。(30代男性=物流系)

A

ご質問について、保険料の確定清算のご説明をします。まず基本的に、損害保険の年間保険料算出の要因としては、保険種目によってさまざまな基礎数値が関係してきます。例えば財物保険であれば付保対象となる資産総額、輸送保険であれば同様に輸送総額、また自動車保険であれば対象車両台数であったりします。

その際に、通常12カ月の保険期間途中であまり変動のない数値であれば、特に気にする必要がないと言えますが、在庫額であったり輸送額については、保険契約の開始に予想した数字と、12カ月を経て実際に確定した数値との間に大きな隔たりが発生することもあります。

仮に保険開始時に想定した数値が実際より少なかった場合、結果的には付保対象全体に対する保険料が支払われていないことになりますので、有事の際にきちんとした保険金の支払いがされない可能性につながります。逆に、開始時に実際よりも大きな数値で予想をした場合には、それに合わせて保険料が算定されていますので、本来であれば払わなくても良い保険料を余分に払っていることになります。

そういった不具合を調整するために、「保険料の確定清算」という考え方があり、流動性の高い財物保険の在庫や、12カ月分の実質物流量予想を立てるのが難しい輸送保険、または付保車両台数が多く常に出たり入ったりしているような自動車保険の場合に適用されます。

また特に輸送保険などの場合、あらかじめ先払いの保険料を見込み輸送額の例えば80%分にのみ適用させるようなデポジット保険料を採用することもあります。この場合、契約終了時に必ず確定清算をする前提で、先払いの保険料を一定分軽減することが可能になりますが、同時に最低限の保険料額(Minimum Premium)についても設定されるのが通常で、見込みに対して実質額がかなり低かった場合でも際限なく保険料返金を受けることはができないのが一般的です。

自動車のフリート保険などの場合は、実際に付保対象に入った、または外れたタイミングを順次保険料に反映させるのではなく、保険開始時と終了時の対象台数の差に対して一括年間保険料の半分を調整する50%のルールを適用する方式も昨今は一般的になりつつあります。

これは保険付保と保険料計算を別途独立させて行う考え方で、必要な保険は申告が遅れても自動的に付保される方式に基づいており、たくさん工場などを持っている契約者の火災保険にも適用されます。

いずれにしても、全ての方策は保険会社と契約開始時に条件交渉の際に同意に達して初めて適用されますので、自身のビジネス・モデルに照らし合わせてどのような方式が最も効率的かを検討するのが良いでしょう。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア
ジャパン保険サービス部

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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