【税とビジネス】賃貸不動産の税金、タックス・リターン①

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賃貸不動産の税金、タックス・リターン①

まだまだ不動産投資は人気ですが、投資用不動産を購入するには、それに伴う義務を分かっていないといけません。不動産を貸し出した際の税金上の注意事項を2回にわたって見てみましょう。

まず、家やマンションなどの不動産を貸し出して得るレント(賃料)は立派な収入ですので、仕事の収入や投資収入、ビジネス収入と同様に申告義務があります。そして不動産収入を得るために費やした費用(経費)を計上することで、賃貸不動産からの純利益が減ります。その結果、税金の掛かる収入が減ります。

では、どのようなものが税金上の経費になるのか。基本的には不動産を貸し出すために費やした費用全てです。

レイツ、ボディ・コーポレート、ストラータ、ランド・タックス、保険、テナント募集広告、不動産業者管理料、ガーデニング、ペスト・コントロール、光熱費、水道代、清掃、修理・メンテナンス、郵便代、文房具など、継続的に掛かる費用(ランニング・コスト)です。

これに加え、一番大きな出費がローンの利息です。ローンの支払い自体は経費になりませんが、ローンの支払い利息が経費になります。これが天下の宝刀、ネガティブ・ギアリングにつながります。またローンの口座手数料も経費になります。

反対に経費にならないものを見てみましょう。購入に掛かる調査費用、弁護士費用、スタンプ・デューティー、登録手数料など不動産の購入に掛かる費用、不動産のチェックや不動産業者を訪れるための旅費や交通費、リノベーションなど修理ではない修繕などは経費になりません。

購入に掛かる費用は、売却する際のキャピタル・ゲイン申告の際に経費になります。修理ではない修繕は判断が難しく、これは一筋縄にはいきません。そして注意すべきなのが、不動産購入後1年以内の修理。これも経費になりません。中古不動産を買ってまずは奇麗にしたり、修理して貸し出そうといったケースです。

経費にはなるが計上の仕方が複雑なものもあります。家具付き物件として貸し出す場合の家具は、金額により一括ではなく複数年で経費計上する必要があります。ただし、2017年5月からは中古家具は経費計上できなくなりました。ローンを借りる際の手数料などの費用も一括では経費計上できません。

そして、一番大きい不動産自体の購入代金はどうでしょうか。実は購入費用自体は経費になりません。しかし建物の建築費用の減価償却を経費計上できます。意外と知らない人が多いのですが、減価償却表を査定士に頼んで作成してもらうことで計上できる「Div 43 Capital Works Deduction」です。作成費用は500~800豪ドルほどで、1度作成するとその物件に関してずっと利用できます。またこの費用自体も経費となります。


賀谷祥平
競馬騎手、豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士。James Cook University MBA、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。現在はNorth QLDで騎乗している。
Web: www.facebook.com/shoheikayawww.ezytaxonline.com.au/ja

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