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バレエの真髄!? コール・ド・バレエ②/QLDバレエ団 合々香と弘平のグランパドトゥ 第26回

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コール・ド・バレエ

2018年公演『ラ・バヤデール』の「影の王国」の場面よりコール・ド・バレエ登場のシーン(© David Kelly)

 皆さん、こんにちは。QLDバレエ団の吉田合々香です。

 前回、「Corps de Ballet(群舞)」は、バレエの舞台においてどのような役割を果たしているのかについてお話ししました。今回は、具体的にどのような作品で彼女たちの美しさが際立って見られるのかを紹介したいと思います。

 コール・ド・バレエが作り出す美しさが見所になる作品は数多くありますが、代表的なものとして忘れてはならないのは、コール・ドの白鳥が悲しげに1羽ずつ登場し群れを成してゆく情緒豊かな『白鳥の湖』でしょう。

 全てのダンサーが、腕や上体を本物の白鳥のようにしなやかに、伸びやかに使わなくてはなりません。人間の動きではなく、本物の鳥が羽ばたいて行くかのようなこの作品独特の腕の動きは特徴的で、ダイナミックな動作の中で全員一丸となって息を合わせることが求められます。





 『ラ・バヤデール』の「影の王国」の最初のシーンでは、斜めのスロープを使った群舞の登場の演出が大きな見せ場となります。

 男性主役のソロールが愛する人を失い、悲しみにふけてアヘンを吸いながら眠りにつく中で見る幻影の場面です。ゆっくりとした音楽に乗せて、高度なバランス感覚が求められる踊りをこなし、フォーメーションも保たなければならず、群舞にとってとても難しいシーンです。

 幻想的な世界に導かれる美しいシーンは、その部分だけを抜粋して公演されることも少なくありません。

 『ジゼル』の第2幕では、ウィリー(精霊)たちが織りなすさまざまなフォーメーションが大きな見所となります。ウィリーとは結婚することができないまま死んでしまった若い女性の精霊で、裏切られた男性たちへの復讐を胸に、儚くも力強い踊りを見せます。

 もう血が通っておらず生命のない魂だけが残ってしまった浮遊感、透き通ってしまう空気のような動作が求められる美しくも恐ろしく、そして、儚いシーンとして知られています。

 いかがでしたでしょうか。次回はコール・ド・バレエ編の最終回。ダンサーたちが具体的にどのように、一糸乱れず息を合わせて群舞を成しているのか、その裏側をお話ししたいと思います。

このコラムの著者

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吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。





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