2,900億円かけて通信網大改修
公共放送ABC(電子版)によると、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は13日、国営の「全国ブロードバンド網公社」(NBN公社)に30億豪ドル(約2,900億円)の予算を投じ、インターネットの接続スピードを飛躍的に高速化すると発表した。
NBNは全国に光ファイバー網を整備している。しかし、光ファイバー回線の分岐点から各世帯や事業所までの最終区間については、依然として従来の電話回線と同じ銅線を使う「ファイバー・トゥー・ザ・ノード」(FTTN)を採用しているところが多い。高速化には限界がある。
このため、アルバニージー首相の労働党政権は、62万2,000の世帯や事業所を対象に最終区間の回線を光ファイバーに差し替えるなどの大幅改修を行う計画だ。これにより、2030年までに1,100世帯・事業者で最大1ギガバイト毎秒(Gbps)の高速インターネット接続を可能にする。実現した場合、現状の平均速度76.64メガビット毎秒(Mbps)と比べて、次元が異なるデータ転送レートが期待できる。
NBNは前労働党政権(2007年〜13年)が、オーストラリア史上最大規模の国家インフラ事業としてスタート。09年に回線の卸売業者として国営のNBN公社を設立して整備を進めた。ただ、13年に発足した保守連合政権の下で、予算を抑えるため、世帯や事業所の末端まで光ファイバーを整備する「ファイバー・トゥー・ザ・プレミシズ」(FTTP)を縮小し、FTTNを含む様々な技術をミックスした接続方式に改めた経緯がある。
今回のNBN改修計画は、労働党の事実上の選挙公約。今年5月までに実施される次期連邦選挙後に勝利後に予算化する。アルバニージー首相は会見で「NBNを創設した労働党こそが、NBNを完成させることができる」と胸を張った。
なお、オーストラリアの固定回線の速度は主要国と比較して著しく遅い。予算規模が適正かどうかは別として、国家戦略上、改修が必要であることは間違いない。インターネット速度計測サイト「ウークラ」の調査(2024年11月=固定ブロードバンド回線)によると、オーストラリアは平均77.90Mbpsと世界の国・地域で75位に沈んでいる。1位はシンガポールで平均320.46Mbpsとオーストラリアの約4倍速い。日本は平均196.42Mbpsと21位につけている。
■ソース
Prime Minister promises $3b to ‘finish’ NBN and speed up internet(ABC News)