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「パワーハウス博物館所蔵品を州内各地に分散」

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2021年7月から3年間の閉館時期に

 NSW州保守連合政府は、パワーハウス博物館は現在のシドニー都心ウルティモ地区からパラマッタ市のパラマッタ河畔氾濫原への移転を計画しているが、2021年中期にウルティモ館を閉鎖した後、パラマッタ新館竣工までには3年の閉館があることから、同博物館管理者は、博物館の蒸気機関車やビンテージのレース・カー、航空機、路電などを州内各地の博物館に貸し出すことを提案している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 NSW州議会上院の命令により、千を超える文書が開示されているが、昨年から、3年間の閉館中に博物館の大型所蔵品をどうするかで交渉が続いていることが文書で明らかになった。

 たとえば、1号機関車はシドニー地域南西部サールミアにあるNSW州鉄道博物館に貸し出すことができる。また、シドニー地域南部サザーランド地区のロフタスにあるシドニー・トラム博物館には、シドニーで唯一現存している馬車トラムやトーストラックOクラス・トラム、かつてシドニー全域を走っていた路面電車を貸し出すことができる。

 博物館は6月30日をもって館内ヘリテージ・ホールを閉鎖し、残りの部分も2021年7月に閉鎖することになっている。また、すでに予約を受けているヘリテージ・ツアーについては人気があるため、2020年末まで続けるとしている。具体的な貸し出しけいかくについては2020年末までに決定、発表するとしている。

 しかし、所蔵品を各地に貸し出すことについては、地域博物館の所蔵品保存、展示、管理の基準について必ずしも満足がいく物ではないとして懸念が生まれており、また、所蔵品の移転中の破損事故も心配されている。

 ボブ・カー元NSW州首相は、「世界の主要都市を見ても、市民が何世代もかけて集め、保存してきた博物館所蔵品を各地に分散させるなどという暴挙は聞いたことがない」と所蔵品貸し出し案を批判しており、また、所蔵品担当のジェニファ・サンダース元館長は、「計画は文化的知的破壊行為だ。パワーハウス博物館の所蔵品が気まぐれに思いつきのようにあちこちに分散され、一箇所に集められてこそ意味があったものが跡形もなくなることになる」と批判している。

 さらに「そればかりでなく、博物館に寄贈された、1785年製のボウルトン&ワット蒸気機関の場合、パラマッタ博物館では蒸気供給もなくなり、館内通路にぽつんと置かれることになる」と新館計画そのものも批判している。

 州議会労働党は、パラマッタ移転計画そのものの取り消しを求めている。
■ソース
Powerhouse collection to be ‘scattered’ across NSW, plans reveal

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