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フィジオセラピストに聞こう!/効いている証拠です! 腱の痛み

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フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法

フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!

第100回 効いている証拠です! 腱の痛み

新年を迎えて1カ月が経ち、気持ちも新たにウォーキングや筋トレに励んでいる方も多いのではないでしょうか。「今までよりたくさん歩くようにしています」「あえて上り坂を増やし、負荷を掛けるように意識しています」などの声を耳にします。とてもいいですね!

健康に気を使い、しっかり運動をしようという心構えはとても大切です。しかし、長年の運動不足がたたって、運動の量や負荷を少し増やしただけでも肩や肘の痛み、足裏の足底腱膜(そくていけんまく)や、かかとのアキレス腱に痛みが出てしまっていませんか? 心肺機能や持久力、筋肉量など体全体の健康維持を考えた場合、このような腱の痛みで運動を挫折してしまうよりも、なんとか継続する方が圧倒的に重要です。だからといっても痛みはある。さて、どうしたらいいでしょうか。

腱はマゾです……

腱は絶えず負荷を受けていることを好みます。これにより、腱の健康が維持されます。腱はコラーゲンの繊維の集合体です。樹木が光量により光合成で生成できるエネルギー量が変化するように、腱は運動などから受ける負荷により良好で強い状態を維持します。負荷がなければコラーゲンは脆くなり、腱は弱い負荷に対応するように弱化していきます。

そんな時に急激に負荷が増えると腱は対応できず、痛みを発生させて私たちに教えてくれるのです。「頑張ってあなたの期待に応えますから、運動するなら続けてください」と。

腱の再形成には約3~4カ月掛かります。ですので、腱に痛みが発症しても、リハビリという形で正しく負荷を掛け続けると腱を形成しているコラーゲンが再生され、新鮮で強い腱に作り変えられるのです。

腱と新血管形成

腱は成人したころに一番良好な状態になると考えられています。この時、腱には血流がなく、酸欠の状態です。明確な原因は解明されていませんが、運動不足(負荷の不足)、加齢、極度の負荷(アスリートに多い)などにより腱の酸欠状態が何らかの形で認識されると、新しい血管が形成されてしまいます。

しかし、新しく作られた血管は不完全であり血液が漏れ出てしまうことがあり、必要な血液を安定供給できません。現段階の研究では、この血流の安定供給を維持するために必要な遺伝子(R-Ras)が解明されたところです。

今後はR-Ras遺伝子の役割と最活性化の条件などの解明が研究課題となっています。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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