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大館工芸社の「軌(MICHI)」

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今月の気になる一品
優れた日用品からため息の出るような贅沢品まで、
スタッフの気になるアイテムを独自の目線でピック・アップしてお届け。
日本とオーストラリアを中心に、世界各国のブランドから紹介する。
本当に良い物を愛用して、日々の暮らしをもっと心豊かに。
大人の毎日を完成させよう。(文 石井ゆり子)

軌(MICHI)(朱・黒各¥11,000)

軌(MICHI)(朱・黒各¥11,000)

 ランチタイムに活躍するお弁当箱は、さまざまな種類がある。ご飯をよりおいしく頂くために、上質な物を選んでみてはいかがだろう。近年、機能的かつレトロでお洒落な曲げわっぱのお弁当箱が注目されている。そこで今回紹介するのが、大館工芸社の「軌(MICHI)」だ。 同社は、1959年、秋田県大館市で設立された。丸太の買い付けから製材、曲げ加工、桜皮縫い、底入れ、仕上げまで一貫して手掛け、伝統工芸士を含む職人たちが、秋田杉で曲げわっぱを製造。伝統的な物はもちろん、現代のライフスタイルに合ったデザインの曲げわっぱを作り続けている。

 秋田杉で曲物が製造されるようになったのは約1300年前で、1980年頃に国の伝統工芸品に指定され、秋田県を代表する特産品へと成長した。2013年、自然保護を目的に天然秋田杉の伐採が禁止となったことから、原木の在庫利用を除き、原材料のほとんどが人工的に植林された秋田杉だという。樹齢100年前後のため年輪幅が若干広く、天然 秋田杉と比較すると赤みがかった色合いが特徴だ。どちらも木目が均一で、軽さや弾力性、心地良い香りを兼ねそろえ、曲げわっぱに最適な素材であることに変わりはない。同社では、計画的な伐採と植林で秋田杉を育て、資源確保と環境保全に努めながら製品を作っている。

 軌(MICHI)は、細長い楕円のフォルムで、美しい1本のラインが特徴的な現代風の曲げわっぱのお弁当箱だ。2014年、第34回秋田県特産品開発コンクールで民工芸品部門最優秀賞を受賞。優美なデザインと和の温もりが魅力で、アクセントとなるラインは、朱と黒の2色から選べる。450ccの容量で、軽量かつ強度と弾力性に優れていることがポイントだ。また、木がご飯の余計な水分を吸収し、調湿することから曲げわっぱに詰めたお米は、冷めてもふっくらとおいしく食べられる。

 同社では、お弁当箱の他にも、食器やお盆、一輪挿しなど、さまざまなアイテムを展開している。曲げわっぱの部材は、杉材の中で最も美しい木目を持つと言われる年輪の柾目が使用されるという。製造における全ての工程が職人による手作業で行われ、曲げわっぱが誕生した時代から変わらぬ技法で、1つひとつ丁寧に作られている。秋田杉の優雅な風合いと温もりに加え、継承されてきた確かな匠の技が、日本が誇る伝統工芸品を生み出しているのだ。

 曲げわっぱは、通常のお弁当箱と比べると値が張るが、一度使用してみると、その価値に納得できるはず。幸福感を味わえるお薦めの一品だ。

ブランド情報

大館工芸社
Web: www.magewappa.co.jp

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