
トレジャリー・ビルディング@ブリスベンCBD
え、あのカジノが大学のキャンパスになるって!?
しばらくブリスベンを訪れていない人が聞いたら、こんなリアクションが飛び出すだろうか。ブリスベンのランドマークに起きた大きな変化のニュースが報じられたのは、今から2年前のこと。
仰ぎ見るシドニー、メルボルンの2大都市に比べ、街の歴史が浅い分だけ歴史的建造物が少ないブリスベン。その少ないランドマークたり得る歴史的建造物の双璧が、シティ・ホールと今回取り上げるトレジャリー・ビルディング。これまでは市民に「カジノ」として認識されてきた、都心の一等地に建つ趣深い建物である。
市内唯一のカジノは、いまやブリスベンの新たなランドマークとして定着したクイーンズ・ワーフへと移転した。移転決定後、トレジャリーにはどのようなテナントが入るのかさまざまに取り沙汰されたが、購入に手を挙げたのは、ブリスベンに拠点を置くグリフィス大学だった。
同大学は、クイーンズランド大学(UQ)、クイーンズランド工科大学(QUT)に次ぐ存在として、ブリスベン近郊に複数のキャンパスを展開し、多くの学生に高等教育の場を提供してきた。主なキャンパスは南郊やゴールドコーストに広大な敷地を持つが、正直なところ、都市部でのインパクトには欠ける印象があったのも否めない。大学側もそれを自覚していたからこその乾坤一擲の一手なのだろうが、相当な高額取引と思われるトレジャリーの取得に踏み切ったのには驚かされた。 しかし、この決定はマーケティングの観点からも大きな効果を生むよく練り上げられた戦略に違いない。都心の一等地にある歴史的建築をキャンパスとすることで、大学のイメージ向上が見込める。先述の2校に比べ、若干打ち出しの弱かったグリフィス大学の大きな売りとなる新キャンパス。2027年に本格稼働した暁には、あのカジノがどのように学びの場へと生まれ変わったのか、この目でしっかりと確かめに行きたい。

植松久隆(タカ植松)
ライター、コラムニスト。ブリスベン在住の日豪プレス特約記者として、フットボールを主とするスポーツ、ブリスベンを主としたQLD州の情報などを長らく発信してきた。2032年のブリスベン五輪に向けて、ブリスベンを更に発信していくことに密かな使命感を抱く在豪歴20年超の福岡人