今月の気になる一品
優れた日用品からため息の出るような贅沢品まで、
スタッフの気になるアイテムを独自の目線でピック・アップしてお届け。
日本とオーストラリアを中心に、世界各国のブランドから紹介する。
本当に良い物を愛用して、日々の暮らしをもっと心豊かに。
大人の毎日を完成させよう。(文 石井ゆり子)
Purple Reign(750ml / $19.99)
オーストラリアの春を告げる花といえば、ジャカランダ。日本ではお目にかかる機会が少ないが、「紫雲木(しうんぼく)」という和名を持ち、その名の通り、ふわりと煙るように咲き誇る青紫色の美しい花が印象的だ。花が散り、地面に落ちた後も美しく、まるで紫の絨毯(じゅうたん)が敷き詰められたかのように人の目を楽しませてくれる。そこで今回紹介するのが、紫色のワイン「パープル・レイン(Purple Reign)」だ。
同商品は、西オーストラリアに所在するワイナリー、マステンゴ(Masstengo)の創業者であるティム・マクナマラと彼のビジネス・パートナーであるロス・スチュワートによって醸造された。白ワインにもかかわらず、神秘的な紫色であることが特徴だ。彼らは、亜硫酸塩など、人間の健康に害を及ぼす可能性のある合成添加物を使わずにワインを製造する技術の研究に着手し、約2年間の実験の末、チョウマメと呼ばれるマメ科の植物の色素を使用して酸化を防ぐことに成功。通常ワインに添加される酸化防止剤の量を極限まで減少することを実現した。ユニークで美しい色合いのワインに仕上った同商品は、酸化を防ぐ働きから、アンチエイジングや美容、健康効果が期待できるそうだ。2019年、シドニーで開催されたロイヤル・イースター・ショーで発売された際、試飲者の95%が購入し、イベントが終了する前にワインの全生産分が完売したという。
ぶどうの品種は、西オーストラリア屈指のワイン産地であるマーガレット・リバーとグレート・サザンで供給されたセミヨンとソーヴィニヨン・ブランがブレンドされ、すっきりとした辛口の味わいを持つ。フレッシュな口当たりで、自然な酸味と、きめ細やかなミネラル感のあるテクスチャーのバランスが絶妙だ。さっぱりとした爽やかな風味のため、カルパッチョや魚のグリルなどと相性が良い。フルーツやチーズなど、スナックのお供にも最適だ。
洗練された味わいはもちろん、うっとりするような綺麗な発色のワインは、場が華やぎ、ホーム・パーティーなどで注目を集めること間違いない。お洒落なラベルで、贈り物にぴったりだ。個性的なワインが充実するオーストラリアでも極めて珍しい紫色のワインは、お土産としても喜ばれるだろう。