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豪に入れば、豪に従え/タカ植松のQLD百景 第22回

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QLD百景
Text&Photo by Taka Uematsu

サリスベリーRSLメモリアル・パーク

 この国で、毎年「4月25日」はアンザック・デーと呼ばれる祝日。そして、この日は、他の祝日とはかなり違う性質を持つ。

 その何たるやを知らず、理解していない日本人同胞が余りに多い。その事実には、恥ずかしさを通り越して嘆かわしいという気にさせられるのだが、ここで講釈を垂れるわけにはいかない。もし、ピンとこないならば「アンザック・デー」でググって欲しい。

 毎年、この日が来ると、邦人の先達に「昔は家から出られなかった」などの体験談を聞かされてきただけに、先の大戦で戦火を交えたかつての“敵国民”としてピリッとした気分になる。今の若い世代には理解できないのかもしれないが。


 コロナ禍での中断から通常に戻った昨年から、これまで参列をはばかっていたアンザック・デーの早暁に行われる追悼行事“ドーン・サービス”に参列し始めた。

 昨年同様、今年もブリスベンは雨のアンザック・デーだった。早朝から、下は幼児、上はギリギリ先の大戦には参戦できなかったかという90代と思しき老兵まで、多くの人が参列。雨に濡れながらあまねく戦死者に頭を垂れる。日本で目にできない、純粋な戦死者や軍務に就く者への真摯な尊敬の念。そんな純粋な思いに心を打たれながら、この国のために散った人びとと彼らの銃口の先に顔をのぞかせたであろう我々の祖父や曽祖父の世代の日本軍将兵に対して、そっと手を合わせた。

 日豪両国は哀しい過去を乗り越えたからこそ、今の素晴らしい関係がある。豪州をパラダイスと信じ、青春を謳歌するのも良い。しかし、忘れてはならない。そして、知らなければならない。豪に入れば豪に従うのが、アンザック・デーの過ごし方だ。Lest we forget.

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