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Genuine Position(真正性)についての審査が厳しいTSSビザ

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Q

TSSビザ申請の際、Genuine Position(真正性)についての審査が厳しいと聞きました。これに関しての説明を頂けますか。(40代女性=人事担当)

A

サブクラス482ビザ(TSSビザ)の取得には以下に挙げた3つのステップが必要ですが、「Genuine Position」はそのうちの2番目に当たる、ポジション審査時の要件の1つになります。

  1. スポンサーシップの承認(スポンサー会社の審査)
  2. ノミネーションの承認(ポジションの審査)
  3. ビザの発給(ビザ申請者の資格審査)

Genuineとは「本当の」「偽りのない」という意味の言葉ですが、どのような場合において“Genuineではない”とみなされるか説明した方が理解されやすいと思います。以下に、ポジション審査においてGenuineと認められない4つの主なケースを紹介します。

例1:ノミネートしたポジションが必要であるはずがない、と判断される場合

 DHA(Department of Home Affairs)の審査ガイドラインには、従業員2人の洗車会社がジェネラル・マネージャーのポジションをノミネートする例を挙げています。この場合、業務内容及び規模から判断して「organise, direct, control and review the day-to-day operations and major functions of commercial organisations through departmental managers and subordinate executives.」という高位の職務を担当するジェネラル・マネージャー職が必要とは考えにくいとしています。

例2:業務拡張の証拠や前任者との交代などの理由がないのに、新しいポジションが必要であるはずがない、とみなされる場合もポジションがGenuineと認められないケースの1つとして考えられます。

例3:求人広告掲載などオーストラリア国籍者や永住者を採用する試みをしていないため、ノミネートしたポジションを実際には必要としていない、とみなされる場合

現行法規上、ノミネーション申請の前に申請ポジションについて求人広告を掲載することが原則として必要です。しかし、ビザ申請者が日本国籍者の場合は「Japan-Australia Economic Partnership Agreement (JAEPA)」の効果で免除されています。ただし、飲食店やヘア・サロンなどのスポンサーシップには、実質的に審査官が広告を求めるケースが見られます

例4:ビザ・ホルダーに保証した給与をスポンサーが支払えるはずがない、とみなされる場合

 スポンサーの売り上げ、利益、資産などが不十分な場合は、ポジションがGenuineではないとされる可能性があります。

Genuine Position要件は、TSSビザによる外国人の流入を抑制するための政策に基づいており、上記のようにさまざまな角度から審査が行われます。実際に申請ポジションがGenuineであっても、審査官に否定されないための証拠の提出が重要です。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


高畠英明(たかはた ひであき)
Staff Solutions Australia Pty Ltd

九州大学法学部及びNSW大学法学部卒業後、2002年NSW州の弁護士資格を取得。シドニーの法律事務所で企業法務に従事の後、査証手続きに関する国家資格も取得。大手企業を主要顧客とするビザ専門法律事務所や監査法人の査証部門における勤務を含む15年以上の経験を生かし、アドバイスを提供する

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